
©板垣巴留(秋田書店)2017
特定のキャラクターが哀れな立場にたつことのないように意識しています
――『BEASTARS』は多様性や共存がテーマの一つだと感じました。先生はどのようなことをテーマとして考えていますか?
板垣 : 私は誰にともなく、「他人を簡単に批判したり冷笑したりするな!」ということを強く言いたいです。人間同士がコミュニケーションを取り、翻弄し合って、そこで生まれるドラマがとても大切だと思っています。これをまとめると、多様性なんだと思います。
――『BEASTARS』は、前作『BEAST COMPLEX』の短期連載が好評を得て、誕生した作品ですよね。『BEASTARS』1巻巻末に「医者やスタイリストという設定を考えていた」と書いていますが、最終的に学園モノにした理由を教えてください。また、なぜ、二作品とも肉食動物を主人公にしたのでしょうか?
板垣 : 少年誌の連載なので、主人公を高校生に設定しました。特に、17歳は生きるうえでの葛藤や欲求、不安などが最も可視化されやすい年頃だと思います。なので、今となっては正解だったと思えます。
二作品とも肉食動物が主人公だと、言われて初めて気付きました。私自身お肉を食べますし、肉食動物の心理描写の方が、感情を入れ込みやすいのかもしれませんね。

©板垣巴留(秋田書店)2017
――3巻では、レゴムが産んだ卵を使ったサンドウィッチをレゴシが食べているシーンがあります。他にも動物界の食う側と食われる側、弱者と強者の関係をコミカルに描いていますが、どのようなことを意識されましたか?
板垣 : 人の世界にも弱肉強食のような関係はありますよね。ただ、『BEASTARS』の世界ではそれが日常なので、特定のキャラクターが哀れな立場にたつことのないように意識しています。
――先生は『BEASTARS』のキャラクター作りに関して、「ストーリーにこういうキャラクターが必要だと思ったら、そこから動物を考えます。」と仰っています。そのような過程で登場したキャラクターを教えてください。
板垣 : ドールビッグホーンのピナはまさしくそうです。「今の作品の空気、なんか暗いから、華のある明るい奴が必要」と思い投入しました。
ピナは、快楽主義で、ナルシスト。私が苦手なタイプですが、それだけに話作りでも翻弄されて楽しいです。
――ストーリーが進むにつれてレゴシの意識や、周りの環境も変化していきます。これからの展開の見どころを教えてください。
板垣 : それぞれキャラクターの生き様は変わっていますが、彼ら自身のアイデンティティを追い続ける終わり方になればと思っています。
あと、レゴシの生い立ちなど掘り下げればもっと話が広げられそうですね。実は、『BEASTARS』の結末のイメージをぼんやりと決めています。しかし、連載が週刊で、毎週目の前のネームに必死なので、そのイメージも日ごと月ごとに変わっていくだろうと予想しています。
次ページ>『BEASTARS』の世界をもっと貪欲に掘り進めていきたいという野心が湧きました












