©平尾アウリ/徳間書店
もし、「推しが武道館いってくれたら」私は死にます(笑)。
― アイドル漫画は『AKB49』や『きらりん☆レボリューション』など、アイドルに焦点を当てた作品が多いですが、ファンをメインにしたのはなぜですか?
平尾 : アイドルものを描こうという話はしていなくて、たくさん出したネームの中で通ったのが、『推しが武道館いってくれたら死ぬ』でした。
― 『推しが武道館いってくれたら死ぬ』を描く際に、モデルになったグループや・人物はございますか?
平尾 : 「ChamJam」自体のモデルはいません。それぞれのメンバーはアイドルやモデルさんを参考にしました。五十嵐れおは元アイドルの前田憂佳ちゃん、伯方眞妃はモデルの池田美優ちゃん、寺本優佳はアイドルの飯窪春菜ちゃん、水森ゆめ莉は元アイドルの長谷川愛里ちゃん、市井舞菜は女優の伊藤沙莉ちゃんを意識して描いてはいます。
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― 先生ご自身は、「武道館で好きなアイドルのステージを見たことがない」とお伺いしましたが、このタイトルは先生ご自身の夢も込められているのでしょうか?
平尾 : そうですね。今では多くのアイドルが武道館でライブをしているので、「武道館でライブを観ることはもう難しくない」とよく言われるのですが、私の今までの推したちは武道館のステージに立っていないので、まだ行ったことがありません……。「武道館に行く」ということは、私のなかではハードルがすごく高いですね。もし、「推しが武道館いってくれたら」私は死にます(笑)。
― 本作を描くうえで、アイドルが好きだからこそ苦労していることはございますか?
平尾 : 『推しが武道館いってくれたら死ぬ』は、完全にフィクションなので苦労はしていません。漫画は漫画として楽しいです。
― 作中のメンバーの心情や心理描写を描く際に、どのようなことを意識されましたか? 参考にされたお話などはございますか?
平尾 : 私がアイドルをしていた訳ではないので、アイドルの方々のインタビューを参考にさせていただいております。『推しが武道館いってくれたら死ぬ』は、アイドルのリアルな部分を描く訳ではないので、アイドルの方々がインタビューなどで発言されている内容が参考するのにちょうど良い感じです。
― 本作では数々の名言(「私の人生には舞菜の1分1秒が必要なんです」など)が、随所に入っています。これは、誰かから見聞きした言葉を参考にされたのでしょうか?
平尾 : アイドルオタクの友人が話している内容の端々をちょっとずつ使わせてもらっています。
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― 作中ではファンが、チェキ券を手にするために耐久したり、身を粉にして働いたりしているシーンが印象的でした。これらのシーンのなかで先生ご自身がご経験されたことはあるのでしょうか?
平尾 : たくさんあります。たぶんほぼ経験しているのではないかなと思います(笑)。けれど、ドルオタ(アイドルオタク)みんなが経験していることなので……。耐久などは決して苦痛ではないです。
― アイドル好きの松岡茉優さんや、作家の住野よる(代表作に『君の膵臓をたべたい』など)さんが、凄く好きだと仰っていました。アイドルファンやアイドルさんからも支持されているようですが、実際にどのような反応がございましたか?
平尾 : これまでの作品ではこんなことがほとんどなかったので、大変ありがたいです。今でも夢だと思っています。やっぱり、アイドルの裏側は私の知らない世界なので、本業のアイドルの方に読んでいただけるのは嬉しくもあり恥ずかしくもあります……。たくさんの方に読んでいただけているので嬉しいです。
好きだった先輩の元カノと付き合う女子高生の話とかをまじめに描いてみたい