» page top
blue_201805

5ヶ月連続刊行!青春サッカー小説<レッドスワンサーガ>を描く綾崎隼先生
2018年7月12日


書影のコピー

世怜奈が市条高校に対して使う戦術だけは決まっている

―― 『青の誓約』のあとがきで、市条高校をレッドスワンと対決させたいとおっしゃっていました。最低でも2冊は必要とのことですが、この2冊はどちらの目線で書かれるのでしょうか。
   
綾崎:レッドスワンです。続きを書いて行った先で対戦させたいと思っています。
   
―― 6月23日発売の『レッドスワンの絶命 赤羽高校サッカー部』を皮切りに<レッドスワンサーガ>が3ヶ月連続で文庫化されます。
   
綾崎:純粋に嬉しいですね。文庫化はかならずしていただけるものではないし、追加エピソードを書けたことも喜びです。すべてを書き切ったつもりで刊行していても、あとからみると、あんなことやこんなことも書いておけばよかったと思うことが出てくるんです。
  
―― この書き下ろしは何が書かれているのでしょうか。
   
綾崎:1巻には鬼武先輩と世怜奈先生の話を、2巻には葉月先輩の話を書いていて、3巻にはとある二人の恋の話を書いています。4巻の新作『レッドスワンの飛翔 赤羽高校サッカー部』(以下、「飛翔」)に繋がる話になっているので、単行本を購入して下さった皆様にも読んでいただけたら嬉しいです。
   
―― では、書き下ろしを読むと「飛翔」の伏線にもなるということですね。
   
綾崎:はい。書き下ろしでは、優雅以外のキャラクターを掘り下げたかったんです。<レッドスワンサーガ>は主人公の一人称視点なので、優雅に関係ない話をするときもそこに優雅がいなくちゃいけないんです。だから、何だかんだと理由をつけてあらゆる場面に優雅が呼ばれていて、伊織の告白の場面でもなぜかいる。一人称の宿命です。伊織はラブレターの添削まで友人に頼みますからね。どんな奴だよと思います(笑)。
   
―― しかも部室に忘れて、世怜奈先生に読まれている(笑)。
   
綾崎:そうそうそう。そうなんですよ。あんなにリーダーシップがあるのに、変わった男だと思います。
 百回くらい言ってるんですけど、僕はミステリーが好きなんです。ミステリーには謎があって、最後に明確な驚きがありますから。常にそういう小説を書きたいと思っていて。<レッドスワンサーガ>は青春小説だからミステリー要素は無いんですが、高槻優雅が一体誰を好きになり、誰が恋の相手になるのかというのが、ファーストシーズンを通してのミステリー的な命題になっています。
  
―― そういう設定があったんですね……。
   
綾崎:はい。実は。あったんです。密かに。これから文庫で読み始める方には、ぜひ、恋の行方を想像しながら読んでいただきたいです。
  
―― しかし、複雑に絡まっていますよね……。
  
綾崎:絡まってはいますが、答えは出しているつもりなので。納得してもらえたらいいなと。
  
―― <レッドスワンサーガ>のファーストシーズンは単行本の3冊で、『青の誓約』がはさまり、「飛翔」からがセカンドシーズンという認識でよろしかったでしょうか。
  
綾崎:はい。大丈夫です。「飛翔」から優雅の3年生編が始まります。3月で3巻が終わって、4月から物語が始まります。
  
―― レッドスワンは先輩たちが抜けました。今度はどう進んでいくんでしょうか。
  
綾崎:夏のインターハイに向けてのお話になります。物語を盛り上げるために、一つ、大きな危機を用意しなきゃいけないと思って。性格の悪い話になりますが、最初に考えたのはどうやって彼らを追い詰めるかでした。4巻ではチームにとって過去最大の困難が発生します。それを彼らがどうやって乗り越えていくのかが、一つの見どころになるのではないかと。あとは新1年生が入ってくるので、新しい仲間の物語も楽しんで欲しいです。
   
―― どういった困難が待ち受けているかは気になるところです。
   
綾崎:恐るべき困難が待ち受けていると言わざるを得ません。もちろん恋の話も書いています。サッカー小説が読みたくて手に取ったという方には、「いらない」と言われることもあるんですけど、僕は今まで恋愛小説を書いてきた人ですし、高校生の男の子と女の子が登場するんだから、恋はしますよね。呼吸をするように(笑)。
  
―― 確かに今まで書いてきて、書くなってのはね(笑)。
   
綾崎:恋の話を読みたいと思ってくださる人もいますしね。難しいところです。
   
―― 悩ましいですよね。あとは、優雅が復活できるのかというのが気になるところだと思います。
   
綾崎:ファーストシーズンでは初めから優雅は最後までプレーしないと決めていました。というのも、俯瞰で見ている選手の視点ならサッカーの試合を書けるだろうという、技術的な部分からスタートした物語だったからです。しかし、何冊か書いたことで、サッカーって小説でも書けるじゃん!という自信がつきましたし、新しいステージに進んでも良いのかなと。
 これまでの<レッドスワンサーガ>は、優雅にとって仲間たちの闘いを支える物語でした。ですが、「飛翔」では優雅自身にも復帰の目が見えてきます。優雅自身の物語が動くことで、ひと味もふた味も違う一冊になっていると思います。
   
―― その先に市条高校との対決があると。
   
綾崎:描けたら良いなと思っています。商業なので5冊目のチャンスを頂けるかは、文庫の売上次第ですが……。
 世怜奈が市条高校に対して使う戦術だけは決めてあるんです。ただ、ゲーム展開や勝敗は、まだ決めていません。なので、その一戦を覗ける日がきたら良いなと、僕自身も心から願っています。
   
―― だから『青の誓約』でも、靖彦の一番の思い出としてレッドスワンとの試合は出てくるけど、結果については触れていない……。
  
綾崎:そうですね。でも靖彦がそう言ってるから、戦うことは戦うでしょうね。でないと、歴史がおかしいことになってしまうので(笑)。平行世界に……。
 
次ページ>ワールドカップの魅力は、配られたカードでいかに戦うかという点

 



過去記事はこちら!

「映画には人生を変える力がある」『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』前田哲監督インタビュー

20181130_155606
講談社ノンフィクション賞と大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』が、今月28日(金)に公開されます。本作は、筋ジストロフィー症を患っている主人公・鹿野靖明と鹿野さんを支えるボランティアの克明な記録とともに「生きる」とはど...(2018年12月26日) >もっとみる

本は日用品 『本屋の新井』の著者・新井見枝香さんの哲学

unnamed
 「新井さんがプッシュした本はヒットする!」という都市伝説(?)もあるほどのカリスマ書店員が三省堂書店にはいる。それが今回『本屋の新井』を出版した新井見枝香さんだ。 本を読む人が減り、書店も年々減り続ける状況のなか、それをもろともせず、独自のアイディアで本を売り、テレビやラジオなど...(2018年11月16日) >もっとみる

ラブコメ王・瀬尾公治先生が描く少年漫画編集部の熱い現場が舞台の『ヒットマン』

51W+hCWmhzL (1)
 『涼風』、『君のいる町』、『風夏』と3作連続アニメ化され、ラブコメ王ともいえる瀬尾公治先生。  今回は、最新作で新人編集者♂と新人マンガ家♀が少年漫画編集部を舞台に週刊20Pに命を懸ける情熱を描いた『ヒットマン』が10月17日に発売された。...(2018年10月29日) >もっとみる

どうして目がよくなると若返るの? 著者・日比野佐和子先生と、監修・林田康隆先生に聞いてみた

4
  関連記事一覧【立ち読み連載】日比野佐和子先生の新刊『目がよくなると 10歳若返る』 ←毎日17時更新!!//   10月に発行されたゴマブックスの新刊『目がよくなると、10歳若返る』。この本の著者である日比野佐和子先生は、『眼トレ』をはじめ累計55万部を超える著書のほか、アンチエイジング専門医としてテレ...(2018年10月25日) >もっとみる

直木賞受賞島本理生さん 『ファーストラヴ』というタイトルに込めた想い

IMG_4328(I)のコピー
今回は芥川賞に4回、直木賞に2回ノミネートされ、第159回直木賞が念願の受賞となった島本理生さんです。 受賞作の『ファーストラヴ』は、ある事件をきっかけに見えてきた家族間の闇に迫るミステリー風の作品となっている。 電子書籍ランキング.comでは、受賞した思いから作品への思いまでをお伺いしました。...(2018年09月28日) >もっとみる