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連ドラ初主演の松本穂香に聞く、「この世界の片隅に」で感じてほしいこと
2018年7月13日


 7月からTBSの日曜劇場枠で放送される「この世界の片隅に」。こうの史代の同名コミックは累計120万部を突破し、2016年に劇場版アニメとして上映され注目を浴びたのは記憶に新しい。戦時中の広島県呉市を舞台に、暗くなっていく世の中に負けずに前を向いて生きる女性の姿を描いた作品だ。
 ヒロインの北条すずは、NHK連続テレビ小説「ひよっこ」で青天目澄子を演じ、注目を浴び、注目若手女優のひとりである松本穂香さんが演じる。
 今回は、松本穂香さんにドラマへの意気込みと見どころをお伺いした。

 

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オーディションで選ばれたときは、手ごたえはなかった

―― 北条すず役をオーディション3,000人の中から選ばれたということですが、選ばれるのに思い当たる節はありますでしょうか。
 
松本穂香(以下、松本):正直、手ごたえみたいなものは特になかったです(笑)。最近になって、共演者の方や事務所の方から「雰囲気がすずさんだ」と言われることが増えました。ですので、私の雰囲気がみんなのイメージするすずさんに近いのかなって思います。
 
―― それはどういったところでしょうか。
 
松本:私もボーッとしていると言われることが多いので、そういうところだと思います。ゆっくりなところがあるのは自覚しているんですけど、たまに、「あ、今ボーッとしてた?」とか聞かれて、「あ、ボーッとしてたんだ」ってなります(笑)。
 
―― 他に似ているなというところはありますか。
 
松本:うーん、不器用なところとかですかね。すずさんってボーッとしていますけど、ちょっと冷静な部分があるなって思うんです。そういうところもあって、勝手に似ている部分があるなと思いながら演じています。派手じゃなくておとなしいところも、自分と似ているかなと思っています。
 
―― 逆に違う部分で、尊敬できるところなどはありますか。
 
松本:絵がすごく上手なところです。私は本当に昔から絵心がないタイプなので(笑)。絵がすごく上手に描ける人っていいなあって思います。あとは、いつも一生懸命なところは尊敬しています。
日常の生活の中ですが、嫁いだ翌日から一生懸命で、初対面の人たちのためにいろいろ家事をやるというのは時代というのもあると思いますが、そこまで頑張れるのはやっぱりすずさんの性格もあるのかなって思います。
 
―― 演じるうえであの時代の女性だからと意識されていることなどはありますか。
 
松本:嫁として、家族の中でも一番はやく起きなくちゃいけないとか、旦那さまを立てなくちゃいけないとかです。いくらボーッとしているといっても、そういうところはしっかりしなきゃいけない(笑)。嫁として義父母のことも大事するというのは、その時代独特なところがあると思うので、そういう意識を持つようにしています。
 
―― すずさんは結婚するときも知らない人のところにお嫁に行くといくのにわりとあっさり受け入れています。そういう時代だったので当然かもしれませんが、今とはだいぶ感覚が違っています。
 
松本:そうですね。嫁いでそこで初対面なので、今の時代とは違いすぎて想像できないです。私は会わないで結婚するとか考えられないです(笑)。それもその時代特有のものなのかなと思っています。嫁ぐころがゴールじゃなくて、子どもも多く残さないといけない「義務」みたいなものがある。それを考えると18歳、19歳で嫁いだりするのも当たり前なんだと思います。ただ、その感覚は現代に生きる私にはちょっと考えられない部分ではあります。
 
―― やはりいろいろ想像された……。
 
松本:はい、そうですね。すずさんのあの性格だからなのかなという部分もあるけど、一回周作さんの顔をのぞき見しているシーンがあったり。周作さん、綺麗な顔だったなぁって、ニヤニヤしたりするシーンもあったりするので、もしかしたら、周作がカッコよくて一目惚れ的なとこもあったのかなと思っていて、だから素直にお嫁に行ったと思っています。
 
―― 主演に決まってから、すぐに呉や江波のほうに行かれたとお伺いしました。実際にすずさんが生きた街を見てどうでしたか。
 
松本:呉だとけっこう坂道が多くて。ここを買い物だったり、用事があるたびにに行き来するのは本当に大変だなと思いました。今みたいに便利なものも無いですし、すずさんのとこには自転車も無いので、余計に大変だなと思いました。すずさんがこの景色を見ながら生活していたんだなと思うと、本当に行ってみてよかったたです。私自身「好きな場所だな」感じることができ、その気持ちで撮影に入れたのは大きかったです。
 
―― どういったところが好きだなと感じましたか。
 
松本:景色ですね。緑がすごく多くて気持ちいい場所で、私もそういうところが好きなので。すずさんも劇中では結構景色を眺めながら、ふと優しい気持ちになったりしているので、そこは同じ気持ちかなと思います。
 
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―― 原作のコミックを読まれたと思うのですが、その時の感想を教えていただけますでしょうか。
 
松本:役が決まってから読ませていただいたのですが、その時の印象は、他の戦時中のものを描いた作品では感じたことのないほっこり感を感じました。全体的に明るくて楽しい話で、下巻に入ってようやく戦争の部分が見えてきて、そういうところが新鮮だなと感じました。日常のあたたかい話を描いているので、余計戦争の怖さを感じて、すごく衝撃的でした。
 当たり前の日常があるのに、いきなり戦争が出てきて、空襲で襲われたり、原爆が落ちてくる。当時の人たちも本当に原爆が落ちてくるなんて考えもしなかったでしょうから、とてもたくさんのことを考えさせられました。
 
―― 実際に撮影が始まって、原作を読んで受けた印象と違う部分や知ることができた部分などはありますか。
 
松本:原作を読んでいると、すずさんの気持ちってわかりにくかったんです。落ち込むシーンがあっても、次のページでは当たり前の日常になっている。でも、撮影してみて感じるのは、その間にいろいろ感じていて、自分である程度処理をしての、次のページなんだなと感じました。
 
―― やはり原作だと表現できてない余白というか間がわかりづらかった……。
 
松本:あとはやっぱり、すずさんの立場って「嫁いできた」という身でひとり他人じゃないですか。だからやっぱり我慢して、言葉に出せる場所がなかったのかなって思います。だから、描写に無かったのかなと。読んだときにはあまりわからなかったですが、そういう立場的なものもあるのかと思ったりします。
 
―― 今作では、漫画では描かれていない間も表現したいとかってあるんですか。
 
松本:岡田惠和さんの書いてくださる脚本が素敵で、原作では見えてこなかったすずさんの表情や、思ったらすぐ行動しちゃうところ。ドラマとして時間が長い分、もっと濃く表現できるかなと思っています。ボーッとしているすずさんだけじゃなく、いろいろなすずさんが出せたらいいなと思っています。

 

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