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ラブコメ王・瀬尾公治先生が描く少年漫画編集部の熱い現場が舞台の『ヒットマン』
2018年10月29日


 『涼風』、『君のいる町』、『風夏』と3作連続アニメ化され、ラブコメ王ともいえる瀬尾公治先生。
 今回は、最新作で新人編集者♂と新人マンガ家♀が少年漫画編集部を舞台に週刊20Pに命を懸ける情熱を描いた『ヒットマン』が10月17日に発売された。

 電子書籍ランキング.comでは、この『ヒットマン』に出てくる秘話から、以前の作品のキャラクターがなぜ出てくるのかまでお伺いしました!
 これを読めば、『ヒットマン』が100倍楽しめること間違いなし!
 

どうしても描きたいエピソードがあってリアルな編集部名を出した

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©瀬尾公治/講談社

―― 10月17日に発売された新刊の『ヒットマン』は少年漫画誌編集部を舞台した作品です。今回、編集部を題材にしたのはなぜでしょうか。
 
瀬尾公治(以下、瀬尾):以前から自分の職業である漫画家を描いてみたいという気持ちはあったのですが、新人作家がやるべきではないと考えていました。いろいろと経験した今ならいいかな!という気持ちで新作の題材に決めました。
 
―― 新人作家がやるべきではないというのはなぜでしょうか。
 
瀬尾:新人作家が描いても面白くならない題材だからです。「お仕事漫画」においてリアリティはとても重要な要素で、漫画業界の内情をまだ分かっていない新人作家には向いていないと思っています
 
―― 架空の雑誌名ではなく、『週刊少年マガジン』(以下、マガジン)というリアルな編集部を出そうと思ったのは、なぜでしょうか。
 
瀬尾:より熱い作品にしたかったからです。前作のバンド漫画『風夏』では、取材を通してアーティストや音楽プロデューサーの方々のリアルな熱い想いに触れ、その熱さを形にしようと試行錯誤して描きました。新作ではそれに勝る熱さを描きたい。それには自分がより知っている世界を描くしかないと思ったのです。リアルな想いをそのまま作品に反映させて描こうと、現実の編集部を出すという決断にいたりました。あとは、いつでも取材できるっていう利点もあります(笑)。
 
―― 作中でもリアルな描写が多いのはそのためでしょうか。
 
瀬尾:そうですね。それに加えて、どうしても作中で描きたいエピソードがあって……。20年前にマガジンが『週刊少年ジャンプ』(以下、ジャンプ)を抜いて発行部数で1位になったことがあるんです(※)。その時、僕はまだ連載前でアシスタントをしていてスゴイなってただ見ているだけでした。いつか連載作家としてマガジンの日本一に立ち会いたい、そんな想いでここまで漫画家を続けてきました。『ヒットマン』の作中で主人公の龍之介とともに達成できたらいいなと思ったのです。

※1997年に発行部数が400万部を超え、当時の発行部数で1位を獲得。2002年頃まで時期をマガジンの「第2次黄金期」と呼ばれている。



―― 『ヒットマン』作中では、編集者の立ち上げ作品の発行部数を数値化して見せたり漫画家の能力をチャート化したり、バトル漫画風な要素を取り入れています。
 
瀬尾:まさにバトル漫画からヒントを得ました。漫画編集や漫画家ってよく分からない界だと思うので、編集者の格だけでも分かりやすくしたかったのです。
 実際の編集部でも、立ち上げ作品の発行部数が「敏腕編集者」の要素のひとつになるみたいで、それを数値化したら面白いなと思い取り入れました。マガジン編集部内からも「リアルだな」という声が多かったようです。

P064G
©瀬尾公治/講談社

 

―― 漫画家のチャートはいかがでしょうか。
 
瀬尾:僕が漫画家として大事だと思う要素をチャート化しました。「画力」、「ストーリー性」、「運」、「構成」、「生産量」の5つですね。
 
―― その中でも、特に重要だと思う要素はなんでしょうか。
 
瀬尾:これ言ってしまうと元も子もないと思いますが、「運」です(笑)。どの編集者が担当になるかも運ですし、連載の獲得も、そのときの誌面の状況によるので、運の要素が強くなります。
 あとは「構成」も重要ですね。ここでいう構成とは、「面白く描く能力」のことを指します。いくら面白いストーリーを考えられても、面白く描く力がないとダメだと思いますし、構成力さえあればどんな些細なこともすごく面白く描くことができます。

 

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