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「映画には人生を変える力がある」『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』前田哲監督インタビュー
2018年12月26日


講談社ノンフィクション賞と大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』が、今月28日(金)に公開されます。本作は、筋ジストロフィー症を患っている主人公・鹿野靖明と鹿野さんを支えるボランティアの克明な記録とともに「生きる」とはどういうことかを描いた一本です。
 
今回、電子書籍ランキング.comは、本作公開にあたり前田哲監督にお話を伺いました。
多くの作品でメガホンをとってきた前田監督の意気込みとは?
 

小学生から高齢者まで観られる映画を目指したかった


 
――これまで数々の映画を撮っている前田監督にとって『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』は、どのような作品だと位置づけていますか?
 
前田哲(以下、前田) : これまで、『ドルフィンブルー フジ、もういちど宙へ』(2007年)や『ブタがいた教室』(2008年)を監督して培った経験値はとても活かせました。
主人公の鹿野さんとご両親だけは実名なのですが、ほかの登場人物はみんなフィクションです。フィクションの登場人物を出して、鹿野さんとボランティアとの関係を強調し、物語をダイナミック展開することにしました。
これまでの集大成というと一言で終わっちゃうんですけど、ノンフィクションとフィクションとのバランスがとれた、エンタテインメント映画にできたと思っています。
小学生から年配の方まで、観ることができる家族映画として楽しんでもらえると思います。
 
――原作はノンフィクションですが、映画としてエンタテインメントとして届けるために、工夫や意識したこととかはありますか?
 
前田 : いろいろと映画独自の取材していくと、あらたな事実もわかったりして・・・、実話を元にはしているけども、今回は映画として面白いものを追求しました。事実の重み、強さから感じたことを土台にしつつ、映画として面白いものを最終的にセレクトしていきました。最初から、エンタテインメント映画にすると決めていましたから。小学生から高齢者まで観られる映画を目指していたので。公開が年末だから、お正月に家族でこの映画を「なんか面白そう、皆みんなで観にいこうよ」と言って足を運んでもらいたい。そして、観たあとに「良かったね、あの場面でさ・・・」「こういう問題ってどう思う」「あのセリフが心に残っている」というように家族間の話題に上るような。
鹿野さんの言葉は印象に残るモノがすごく多いんですよね。「正直に生きているか」「嘘を本当にしちゃえばいいんだよ」「人はできることよりできないことの方多いんだぞ」などなど、その言葉は、観客によってそれぞれ違うらしいんですよ。そういう発見もできる映画になればいいなと思っていました。
 
次ページ>大泉さんが鹿野さんを演じることは、映画としての〝格〟が決まるので、すごく重要だった
 



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