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プレゼンテーションのプロ・天野暢子先生に教わる極意とは
2016年5月17日


「プレゼンテーション」という言葉を聞いて何を思い浮かべますか? 大勢の聴衆を前にスティーブ・ジョブズがスピーチをしているような光景を連想する人も多いのではないでしょうか。しかし、しゃべることばかりに気をとられて、資料作りも重要なプレゼンテーションの一つだということを見落としていませんか?
今回は、プレゼンテーションに関する数々の本を執筆している天野暢子先生にインタビューを行ないました。「プレゼン・コンシェルジュ」として仕事を始めたきっかけや、日常から実践できるプレゼンテーションの極意、そして自著でも多数出版されている電子書籍についてもお伺いしました。

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一番得意なことで何かやった方がいいなと思ったんです

――天野先生は「プレゼン・コンシェルジュ」としてご活躍していらっしゃいますが、現在の活動について教えてください。

プレゼンテーションについて、講演会や企業の研修などで講師をしています。教える先生っていろいろな方がいらっしゃるんですけれども、いくつかのパターンがあるんですよね。アナウンサー出身やCA出身、外資系でコンサルティングをされている方。そんな中でも、私はプレゼンテーションの資料作りについてレクチャーしています。
今も書籍を2作執筆するほかに、ブログやメルマガを書いています。

――先生がアメーバブログで連載されている「日刊ノボちゃん」も頻繁に更新されていますよね。

13年間、毎日欠かさず更新しています。それが信用というものだと思ってやっています。ブログのタイトルにもキャッチコピーみたいな感じで入っているんですけれど、「コボちゃん」と「ののちゃん」という各新聞で何十年も連載されている4コマ漫画がありますよね。その記録に続くブログにすることを目標に更新しています。2500回を突破したので、追いつけるかもしれないです。新聞は休刊日がありますが、ブログは毎日休まず更新していますからね(笑)。

――どのようなきっかけで、現在のお仕事を始めたのでしょうか。

今まで7つの会社に勤めて、それぞれの会社の上司から必ず「天野さんって我慢の飽和点が高いね」と評価していただいていたんです。けれども、我慢することに百万馬力を使うくらいなら、前向きなことに百万馬力を使った方がいいんじゃないかと、ふと思い至って。
会社員になるにせよ、起業するにせよ、一番得意なことで何かやった方がいいなと思ったんです。そこで、私が他の誰にも負けないことって何だろうと考えたら、プレゼンテーションでした。プレゼンテーションの資料や企画書などを作ることに着目して、それを軸に「イー・プレゼン」を起業することにしました。

――プレゼンテーションについての講演会もなさっていますよね。

プレゼンテーションという言葉を聞くと、みなさんしゃべり方に注目してしまいますよね。アメリカのプレゼン大会「TED」や、スティーブ・ジョブズによるAppleの新作発表みたいに、ポケットに手を突っ込んで歩きながらしゃべっているような。だけどあれはアメリカの話で、みんなが生活をしているのは日本。環境は違うけれど共通して言えるのは、どちらもまずは書類選考があることです。
例えば、就職活動では平均的に20~30社くらい受けますよね。ただ、書類選考を受からなければ、面接に進んで話をすることはできないんですよ。ということは書類が一番大事なんです。仕事での取引や商談も同じです。たとえプレゼンテーションでうまく話せたとしても、「あの人は話がうまかったから、よし、3億円のプロジェクトを発注しよう!」とはならないですよね。やはり見積書や提案書、プロジェクトの進行表といった書類を確認して、これなら任せてもいいと意思決定をするわけですから。これは自分の経験なのですが、本を出版できたきっかけが、出版社に郵送した企画書だったんです。企画書のおかげで、会ってお話しする前に刊行が決まりました。
けれども、講演会に来る方は、プレゼンテーションというと、やはり「TED」やスティーブ・ジョブスをイメージしているようです。「私は人前に出るとあがります」、「うまく話せません」、「頭が真っ白になります」、「どうすれば人前でうまく話せますか」と悩んでいて、それをプレゼンテーションだと考えていらっしゃるようです。でも、それは資料作りの次の段階の話になるので、「まずはここを突破できるようにしましょう」と、プレゼンテーションの資料作りや準備がいかに重要かという話をします。資料がカチッとしていれば、「話して下さい」、「説明して下さい」と言われて焦ることも少なくなるんですよ。もちろん、緊張しにくくなる方法や人前で上手に話す方法はお伝えするんですけれどもね。

――なるほど。資料作りが一番重要なのですね。プレゼンテーションにまつわることで、日々の業務の中で意識した方がよいことはありますか?

そうですね。いつもみなさんには、会議の場で「プレゼンテーションして下さい」と言われたときからプレゼンテーションが始まるわけではないと申し上げています。例えば、今回のインタビューでも私にお問い合わせフォームから連絡とっていただいたところから、すでにプレゼンテーションが始まっているんです。「どういう文面だろう」と、私に見られていますよね。生きている間はずっとプレゼンテーションだと思っています。

今はまだ転職や起業っていうことは思い付かないかもしれないですが、仮に15年くらい先に、お花屋さんを開きたいと思っていたとしましょうか。常日頃から「いつかはお花屋さんをしたいんだよねぇ」という話をしていると、どこかでいつか叶うチャンスがやってくるかもしれない。実は、それもプレゼンテーションなんですよ。例えば、飲み屋さんで隣に座った年配の方に「将来どんなことをしたいの?」と言われたとします。そのときに「今は会社員として働いているけど、いつかはお花屋さんになりたいんですよね」というようなことを言っておくと、お花屋さん開業や経営に関する情報が集まってくる。

――普段のメールからすでにプレゼンテーションは始まっているのですね。
先ほど頂いた先生の名刺も変わっていらっしゃいますが、これもまたプレゼンテーションの一環ということでしょうか?

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そうです! プレゼンテーションの一環です! 一見、普通の名刺なんですけど、裏面も、そして開いて中面もある! これ実は、パワーポイントを使って、自分で作っているんです。今まではフォトショップやイラストレーターが使えないと、作れないというイメージがあったと思うんです。でも、こんなふうにワードやパワーポイントを使って、誰でもできるくらい簡単に作れてしまうんです。
今書いている本の一つは、これに関するお話です。こうして名刺などをパワーポイントやワードを使って自作できるということがテーマの本で、データも付けるつもりです。
ただ、「ここにこれを置く」、「色はこうするべき」、「真ん中にこれを置かなきゃいけませんよ」ということのレクチャーは必要だと思うので、それも本に書くつもりです(笑)。

>次ページ「両方で出版すると、より幅の広い年齢層に読んでもらう可能性が増えていい」



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