数年前にゲーム業界を舞台にした『大東京トイボックス』というマンガを描いた。いちおう映像化もしたので、もしかしたら名前くらいは知ってるという人もいるかもしれない。業界の苦労話を中心に描いたせいか、よく「ゲーム会社で働いた経験があるんですか?」と聞かれた。いやいや、それがないんです、すみません。
モノづくりの根っこというのは、どの業界も実はそんなには変わらない。なので、連載当初こそがっつりと取材して、そこで聞いたネタを中心に物語を構成していたけれど、途中からは、それだけでなく、自分のマンガ家としての経験をもとに、物語を構成し、それからゲーム業界の人に確認してもらう、ということもしばしばあった。
ただ、いまでもひとつだけ後悔しているのが、一度でいいから、ゲームを実際に作ればよかった、ということ。ちょうど先日『スティーブズ』という連載をひとつ終え、やや時間ができたので、このタイミングだとばかりに、ゲームを作ってみた。さすがにデジタルゲームを一人で作りあげるスキルはないので、アナログゲームだ。それがこちら。
肉を焼くカードゲームである。
料理をモチーフにしたゲームはいくつかあるけれど、肉を焼くことに特化したゲームというのは、たぶんそんなには多くないんじゃないかなー。少なくとも聞いたことはない。
肉への加熱は、シビアだ。40度を超えたあたりから、急速にタンパク質が収縮、凝固をはじめ、80度になる前には、すっかり中の肉汁は外に絞り出されてしまう。たった数度、温度が変化しただけでも、肉質はめまぐるしく変わる。
そのシビアゆえのおもしろさをそのまんまゲームにしたのが、この『JUST MEAT!!』だ。レア(50度)、ミディアム(60度)、ウェルダン(70度)の3種類の焼き方に、3種類の火加減(強火/中火/弱火)と各種アイテムカードで挑戦する。ジャストの温度に焼きあげた者だけがその肉を食べることができる弱肉強食(?)のゲームである。あれこれ、肉にまつわるウンチクもカードに書いたので、遊んでるうちに自然と肉を焼くのが上手くなるはずだ(たぶん)。
・ローストビーフ丼
・ポテトサラダなど
<ローストビーフ丼>
さんざん焼くのは、おもしろいといった話をした後になんだけど、ANOVAを使った。だって、楽なんだもーん。晩ごはん食べながら仕込んだ。
前日の仕込みはこんな感じ。
1)まずは大きめの鍋に水を入れて火にかける。手を入れて「熱っ」となる50度過ぎくらいまで温度を上げたら、火から下ろす。
2)鍋にANOVAをセット。60度まで加熱する。
3)室温に戻した肉にすこし強めに塩コショウをして、ローリエ、少量のオリーブオイルといっしょにジップロックなどの食品保存用袋へいれて、水圧やストローなどを使って、空気を抜く。
4)3の袋を鍋に投入。60度で120分加熱する。
5)強火で温めたフライパンに肉を入れ、表面にさっと焦げ目をつける。
6)粗熱をとったら、冷蔵庫へ。
翌朝は、ほんとうに簡単。ローストビーフをそぎ切りにして、海苔をひいたごはんの上に並べて、ローストビーフソースをかけるだけ。今回は市販のソースを使ったけれど、肉汁に赤ワイン、醤油、ソテーしたみじん切りの玉ねぎあたりで、自作してもおいしい。仕上げにホースラディッシュを添えた。これも、和風のわさびでも十分。
それにしても肉は、やっぱりフォトジェニックだなあ。
ちなみに『JUST MEAT!!』のジャケットにも、肉の写真を使った。
『JUST MEAT!!』は、今週末の日曜日に開催される日本最大のアナログゲームの祭典『ゲームマーケット』で頒布する。開催概要は以下の通り。
名称 ゲームマーケット2016秋
開催日 2016年12月11日(日) 10時から17時
会場 東京ビッグサイト(東京国際展示場) 東7,8ホール
入場料 1000円(会場マップ 入場チケット付き) 1500円(カタログ 入場チケット付き)
※詳しくは公式ページまで。
ウチのブースはD-20。
このコラムのタイトル部分のプリントアウト、もしくはケータイで画面を見せてくれた人は、会場頒布価格2500円のところ、2300円にするので、気軽に声をかけてください。
(次回は、12月15日掲載予定です!)
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