年末である。
出版業界で年末といえば、「年末進行」だ。
GW、お盆、年末は印刷屋さんがお休み。なので、それに合わせて、数日から極端な場合、2〜3週間程度、締切が前倒しになる。ただそこを乗り越えたからって安心してはいけない。さらに危険なのは年始だ。正月気分でうかうか休んでいると、年明け一発目の締切が、すぐにやってくる。デビューして10年目くらいにようやくそのことを学習した。ウチは今年も30日まで仕事。年明け最初の原稿までは、年内に仕上げる。仕上げるんだから!
この季節は、料理的にも忙しい。クリスマスから大晦日、正月とこのシーズンは、派手めのメニューを作る機会が多い。ましてウチは、年明け早々、次女の誕生日があるので、この季節の料理はパズルのよう。あっちであれを作って、こっちでこれを作って、と被らないようにするのがけっこうたいへんだ。
クリスマスに、丸の鶏を焼いたりしたこともあった。ただオーブンから出した瞬間こそ、盛り上がるんだけど、バラすのはたいへんだし、量は多い。結局1羽食べきれなかった。たしか翌日、残った鶏肉に、もち米、ナツメ、ニンニクを投入して、参鶏湯風にリメイクしたんだったかなあ。ただそれでも残って、結局、だいぶ捨てたような覚えがある。
普段作らないからパーティメニュー。逆にいえば、なかなか経験値を積めないのもパーティメニューである。そんな中、ここ数年、クリスマスにいちばん作ったのはこちらのメニューだ。
『きのう何食べた?』 よしながふみ(著) 講談社 2巻p17より引用
よしながふみさんの『きのう何食べた?』2巻に登場するクリスマスメニューである。
この作品に登場するレシピ、どれにも共通することだけれど、なんというか、ちょうど地に足ついている感じがいい。このメニューにしても、混ぜるだけ、和えるだけを中心に、固形のコンソメとか、ツナ缶といった「時短アイテム」を遠慮なく使う。すばらしい。この中で唯一、作業として重たいラザニアのミートソース、ホワイトソースにしたって、できあいの缶を使えば、かなり簡単に作れる。主人公の一人、主に料理を担当しているシロさんも「それでもいいんじゃないですか? セールのとき買っておけば安いし」と言ってくれるに違いない。
・からあげ
・鶏胸肉とブロッコリーのサラダ
・サトイモ梅昆布
・キノコのマリネ
・サバの塩焼き
・ヒジキ
そんなわけで年末年始にあれこれ作るために、今のうちから、冷蔵庫の中身を整理しておかねばならない。そんな今日のまかない。とにかくあるものとか冷凍庫のものでなんとかする。
<からあげ>
次女に「朝ごはん何食べたい?」と聞いたら「からあげ」と言われたので、まとめてあげておいた。朝から揚げ物食べたいってすごいな、5歳児。市販の「からあげ粉」を使って、簡単に。最後に片栗粉をまぶすと、ちょっとそれっぽい仕上がりになる。
<鶏胸肉とブロッコリーのサラダ>
鶏胸肉に塩胡椒してANOVAで63度90分加熱。手で裂いてから、ゆでブロッコリーとゆで卵とごまドレッシングで和えたもの。からあげと鶏がカブったけど、まかないだから気にしない。
<サトイモ梅昆布>
茹でたサトイモにカリカリ梅、塩昆布を混ぜたもの。どこかのレシピで見かけて、以来うろ覚えで作ってる。サトイモのねっとり感に梅の感触がいいアクセントになる。クセになる不思議な美味しさ。
<キノコのマリネ>
キノコをどっさり買ってきたときに作り置きしてる。何種類かのキノコをオリーブオイルとニンニクで炒めて、粗熱を取ってから、ドレッシングビネガーを回しがけて、最後に塩胡椒で調整。そのままでもいいし、パンにのせてもパスタに入れてもOKのたいへん便利な常備菜。
シロさんのクリスマスレシピ、だいぶ完璧なんだけど、ささやかな難点がある。それは簡単すぎること。どのレシピも便利でつい普段使いしてしまった。なので、今となっては、どうもクリスマスのスペシャル感が出ない。
『きのう何食べた?』 よしながふみ(著) 講談社 2巻p18より引用抜粋
『きのう何食べた?』 よしながふみ(著) 講談社 2巻p19より引用抜粋
行事ごはんは、ちゃんと固定しておかないといけないよなあ、自分が楽するために、と反省している。何作るかなあ……。
(次回は、2017年1月12日掲載予定です!)
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