1月初めに、この連載でもたびたび話題にしている『給食系男子』の新年会イベントが開催された。
『給食系男子』は、2011年に会社員、編集者、プランナーなどの調理道楽数名が、業種の垣根を越えて集結したアマチュア男子料理人ユニットである。僕もかなり初期からのメンバーで、6番目に参加したものだから「6合」なんて、肩書き(?)をもらっている。みんなで、何冊か、レシピ本も出している。実は、ウチもキャラクターやら漫画やらを描き下ろしている(しかもBL!)。
かつては「腕によりをかけたごはんを、召し上がっていただくのが最上の喜び!」をキャッチフレーズに、みなさまに料理を振る舞う「配膳」なるイベントを定期的に開催していた。でも気がつけば、2年半も「配膳」イベントを開催していない。ただでさえ忙しいメンバーばかりというのもあるけれど、それが理由というよりは、ついうっかり、という気がする。SNSの落とし穴というか、Facebookでつながっていて、日々の報告を目にしていると、なんとなくリアルで会っていないことを忘れる。そんなある日誰かが切り出した。
「そういえば最近会ってないよね」
「久しぶりに飲もうかー」
「じゃあいっそイベントやる?」
そんな話をしているうちに、あれよあれよと給食系男子として、新年会イベントをする段取りとなった。そこで「飲む話はどこいった!?」とならないのは、さすが給食系男子。キッチンで料理をしながら、半端なハムの切れっ端なんかをつまみに飲むキッチンドランカーは楽しい。自分たちが作ったものを、喜んで食べてくれる人たちを見ながら飲める分、もしかしたら、キッチンの方が楽しかったりもする。少なくともそういうメンバーばかりが揃っている。
場所は都内某所の大型レンタルキッチンで行われた。参加者は60人を超え、キャンセル待ちまで出た。ありがたい話である。
2年半前は、全員アマチュアだったのに、飲食店の店主になっていたり、流しの料理人になっていたりしたメンバーもいる。以前、紹介した『新しい卵ドリル』『大人の肉ドリル』の松浦達也もメンバーだ。最後のイベントのときは、肉ドリル出てたっけな? どうだったかな?
久しぶりの開催ということもあって、裏テーマは「近況報告」ということになった。「最近、こんな店/料理にハマってて」とか「相変わらず、こんな感じで」といった感じだ。みんなの料理はこんな感じ。写真を撮り忘れてるのが多くて、ごく一部なのだけれど。
上段左「鴨のロースト オレンジのソース」石橋匠(1合半)/上段右「かぶとフォアグラのサラダ」原田健一(9合)/中段左「ポムフリット(芋の揚げたやつ)」石橋匠(1合半)/中段右「サーモンとグレープフルーツのオリーブオイル和え カルダモンの香り」原田健一(9合)/下段左「プリン」松浦達也(3合)/下段中「キッズハンバーガー」ヤマグチ リョウ(13合)/下段右「豚汁」廣瀬公将(2合)
みんな、さすがだ。さあ、なにつくろう。というわけで、やっぱりANOVAさんにたよることにした。あとちょっと簡単なさっぱりしたものでも…というわけで作ったのはこちらの2品。
<アボカドとパクチーとライムのサラダ>
驚くほどシンプルな組み合わせだけれど、かなりおいしい。実はこれ、オーストラリア・シドニー発“世界一の朝食”で有名な「bills」の「アボカドとフレッシュライム、コリアンダーのオープンサンド」の具だけを再現したもの。
1)アボカドを半分に切って、種を取り、一口サイズの乱切りにする。実は大きめのスプーンでグリっとすくってもいいけれど、皮側にくっついてしまう実が気になって、最近は皮を手で向くようにしている。
2)パクチーはザクザクと粗めに切り、ライムは半分に切る。真横より、少し斜めに切った方が絞りやすい。
3)もりつけて、粗塩と黒胡椒をガリガリやって完成。
食べるときに、ライムをたっぷりと絞る。パーティなんかで作ると手間の割に評判なのでおすすめ。彩にもなるし。アボカドの良し悪しに自信がないときは、お店の人に選んでもらえば安心。
<ローストビーフ寿司>
1)ローストビーフを作る。部位はモモブロック。塩だけして表面を焼いてから、ANOVA。54度でダラダラ4時間。そのあと冷蔵庫で寝かせた。
2)細く切って、すきやきの割り下、卵黄と和える。
3)ホースラディッシュ、芽ネギ、黒胡椒を添えて、軍艦にする。
牛の旨み+卵黄のコクで十分なので、割り下は、出汁が入ってないものを選んだ。寿司を握れるような技量は、あいにく持ち合わせていないので、こちらを使った。
おもちゃっぽい見栄えを裏切る便利アイテム。アマゾンで200以上レビューがついているのに、☆が4以上あるのがすごい。
当日はたいへん喜んでいただけてうれしかった。ただ「ローストビーフ寿司」って、名乗る前に「肉寿司!」と呼ばれていて、訂正する間はなかった。別にいいんですけどね、呼び方なんて。
さて、次回は最終回。
壮大な人類の歴史を語る予定だ(たぶんホントに)。
(次回、2月9日掲載予定です!)