お弁当作りというのは、ふだんの料理とはいくつか違うポイントがある。
そのひとつが盛り付けだ。
まかないの盛り付けなんて、別に食べられればいいじゃーん、とも思うんだけど、いくら内輪のスタッフ向けのまかないとはいえ、ちょっとは気を使いたい。近所のコンビニまで行くのに、ちゃんとしたメイクはしないけど、眉だけは描かせてください、に近い感覚だと思う(たぶん)。
実は、子供ができるまで、お弁当はほぼ作ったことがなかった。きっかけは保育園の遠足。なんとかなるだろうと、タカをくくっていたら、たいへん。前日の夕方、スーパーでそれらしい食材を購入。少し早起きして、作りだしたものの、作っても作ってもなんだか終わらない。Instagramなんかで見かける子供のお弁当写真のような、かわいらしさが微塵もない。あれー?
そして完成しないまま、朝ごはんの準備も並行。なんとか、体裁を整えて、リュックサックに突っ込んだそのときのお弁当は、子供が完食してくれたとはいえ、自分としてはくやしい出来だった。それから数ヶ月。何度かの遠足を乗り越えるうち、だんだんコツがわかってきた。
ポイントは「少し窮屈」だった。
一般の料理だと、皿の上にぎっしりと料理を敷き詰めるよりは、多少なりとも空間や余白を作る。フレンチなんかでソースでカッコよく縁取るようなのはもちろん、カウンターで食べる牛丼でさえ、店のロゴやら縁やら、丼の縁はちゃんと見える。ところが弁当の場合、そういう気づかいは逆にマイナスだ。お弁当箱ぴったりのイメージで作るとちょっとさびしい。自分の場合、お弁当箱を見て、パッとイメージした量の1.2倍程度つめる「少し窮屈」なイメージでいくと、だいたいちょうどいい感じになることがわかってきた。
そして「少し窮屈」にするには、高さを意識するのも大事だ。お弁当箱の高さに合わせて、切る、重ねる、縦にいれる、下に別のおかずを敷く、などなど、高さもぴったりにすると、よりお弁当感が増す。
・ひじきと梅のごはん
・エビフライ
・ピーマン肉詰め
・じゃがいもの千切り焼き
・ニンジンのナムル
・かぼちゃのグリル
・味付けゆで卵
・ちくわの和え物
・漬物
「ひじきと梅のごはん」は、常備菜として作り置きしておいたひじきと、カリカリ梅のふりかけを混ぜたもの。ひじきの具材は、ひじきの他は、ニンジンと揚げを刻んだのと大豆の水煮。「大戸屋ごはん処」のシソひじきごはんが好きで、あれをヒントにして、たまに作るようになった。大戸屋といえば、こちらの本がおもしろい。しそひじきごはんのレシピは載ってないけど、あのひじきのレシピは載ってる。ほかにも大戸屋のあのメニューやこのメニューの再現レシピがたくさん載っている。なにせkindle版だと、99円とたいへんお買い得。
「エビフライ」はもちろん冷凍。揚げ物だけでも面倒なのに、さらにエビをまっすぐ揚げるなんて手間暇は、まかない道に反する。そもそもフライは、冷凍食品の中でもかなり完成度が高い。このお弁当箱だと、1本そのままは長いので、半分に。お弁当箱の高さに対して少し低いので、下にキャベツの千切りを置いて密度を調整してる。タルタルソースもできあいのもの。
「ピーマン肉詰め」と「かぼちゃのグリル」は、コンロの魚焼きグリルに5分差で投入。「ピーマンの肉詰め」はちょっと失敗だったかー。ピーマンに比べて、肉が縮んじゃうのが問題。グリルだと温度が高すぎたかな。次は何か対策考えよう。
「じゃがいもの千切り焼き」は、スライサーで千切りにしたジャガイモを軽く塩して、小麦粉とあえて、フライパンで焼いただけ。「ピーマンの肉詰め」が思っていた以上に高さが足りなかったので、急遽作った。
「ニンジンのナムル」は、やはりスライサーで千切りして、鶏ガラスープの素、ごま油で和えておいたもの。これも作り置き。ゴマも欲しいとこだけど、ちょうど切らしてたもので、そのままで。この手の不定形なおかずは、自由に隙間に詰められるので、お弁当だととくに重宝する。
「味付けゆで卵」は、茹でて、めんつゆに一晩つけておいたもの。前の日の晩ごはんの支度のときに仕込んでおいた。これくらいの黄身の柔らかさで、沸騰したお湯に入れて7分30秒。ゆでたまごの殻をむくのが、ずーっと苦手で、どんなTipsを使っても、すぐにボコボコになったりしてたんだけど、「卵のお尻の部分にピンなどで穴を開けてから茹でる」「水からでなく、熱湯に入れる」など、給食系男子『家呑み道場』の「最強ゆで卵道リターンズ」を参考にするようになってから失敗知らず。
『家呑み道場 「帰って、即!」のかんたんおつまみ 家メシ道場』p12より(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
実食。
スタッフには「ひじきと梅のごはん」が好評だった。
そうそう、盛り付けで、最近、感銘を受けたのは、シラサカアサコさんのこちらの本。
表紙にもある「おかずとごはんの詰め方講座」がたいへん勉強になる。カップとか仕切りを使わないスタイルとかすごくかっこよくて、いつもトライするのだけれど、うまくいかずひとつくらい使ってしまう。まあでも、まかないだし、とこちらは都合よくまかないをいいわけにしたりして。あ、これ電書版出てないのかー。レシピとタブレットは、たいへん相性がいい。紙の本みたいに、勝手に閉じないし、ちょっと汚れた手でさわっても、あとで拭けば大丈夫。そんなわけで、こちらの電書版もご検討ください、主婦の友社様。
(次回9月22日掲載予定! ※9月中は隔週で連載をお届けします)
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