最近、肉好きのあいだで話題の店、焼かない焼肉屋『29ON』に誘っていただいた。
完全会員制で場所もシークレット!
おまけに座席数も少なくて、そう簡単には予約が取れないと噂なのに!
これはチャーンス!とメッセージをいただいて数秒で行きます、と回答。締切とかなんとかいろいろあるのだけど、こういうときに後先を考えずに行動するのも、マンガ家の大事な素養のひとつである(たぶん)。
焼かない焼肉ってどゆこと?という疑問はまったくもってその通り。このお店では、肉は60度以下の低温で調理される。肉は、熱を加えるとかたくなる。でも熱を加えないと安全に食べられない。シンプルにいうと、おいしさと安全の両方をクリアするのが、低温調理ということになる。
うんまーい!
まずひとくち食べた瞬間に「むほっ♡」っと声が出る。やわらかさはもちろん、うまみもジューシーさも失われないお肉。いつまでも味わっていたいのに、あっさりとろけて胃の中へ落ちていってしまう。ま、待って〜!
「焼かない焼肉、すごいですね」
なんてお店の人とあれこれ話をしていたら、お店で使っている低温調理のマシンを見せてくれるという。ええー、いいんですか!? そんな企業秘密!
「大丈夫です!」
ネットに書いても?
「大丈夫です!!」
わーい、と見せてもらったマシンがこちら。
えーと、これなに?
低温調理機Anova。『AKIRA』の金田がラボでぶっ放したレーザー砲のようなデザインである。なんかのビームで調理するの?
「いやいや、水の温度をコントロールするんです」
お湯をはった寸胴のフチにこのAnovaを固定。食材をジップロックに入れて、空気を抜いて、お湯の中に投入する。するとあとはAnovaが水温を0.1度単位で管理してくれるので、ほおっておけばいいという。ほほう。
お店の方が、一品ごとに
「この料理は58度で〇時間です」
「これはXXXXと〇〇をいっしょのジップロックに入れて、〇時間です」
と教えてくださる。ありがとうございます、ありがとうございます、全部メモらせていただきました。
これだけ教えてもらったら、やってみたくなるよねえ? もちろんお店で使っている食材は厳選されたよいランクの牛肉だったりするので、そのまんまの出来になるわけはないんだけど、いやあ、やってみたくなるよねえ? なるでしょ?
というわけで、話を聞いてから、12時間悩んだ。
レビューを読むと、少し前まで4万円くらいしていた時期もあったそう。でも買った時点では2万6千円。円高バンザーイ!! 置き場がなくてあきらめたバルミューダのトースターのかわりだと思えば、ちっとも高い買い物じゃない。買おう!!
Kindle Unlimitedの騒動で、なにかとさわがしいAmazon界隈だけど、朝頼んで、夜届くのはうれしい。
※小沢さんに、武器っぽく構えて撮影していただきました(編集部注)
なるほどなるほど、専用のiPhoneアプリがあって、Bluetoothでコントロールできるのかー。離れた場所にいても、状況がわかるのは安心感がある。火を使うコンロじゃこうはいかない。さっそく冷蔵庫のものを投入してみる。
鶏モモ 58度60分
鶏むね 60度60分
サーロイン 60度180分後にソテー
もちろん肉だけじゃない。旬のさんまでコンフィも作ってみた。
さんま 85度180分
ホロホロと骨まで食べられる絶品。
もちろん今日は、まかないもこのAnovaで作ってみよう。
・のり弁
・豚ロース
・鶏ムネ肉のピカタ
・マカロニポテトサラダ
・野沢菜
・ゆで卵
<のり弁>は、のりの下に、かつお節ではなく、粉がつおとダシじょうゆを混ぜたご飯がひいてある。とくにこだわりというわけではなく、たんにかつお節がなかったから。まかないだもの、そこは臨機応変にテキトーに。
<豚ロース>は、前の日の夜に、Anovaで60度150分加熱。ジップロックには、塩こしょうとローズマリー、一緒に少量のオリーブオイルをいっしょにいれた。翌朝、醤油を垂らしながら、軽くソテーしてスライス。アクセントにマスタードを添えた。
<鶏ムネ肉のピカタ>は、2日前にAnovaで60度120分加熱しておいたものをスライスして、溶き卵、粉チーズ、小麦粉を混ぜた卵液につけて焼いた。蒸し鶏に近い印象だけど、よりジューシーな仕上がりになっている。ジップロックに食材を入れてから、水に沈めると空気が抜けていく。その上で加熱するので、日持ちがするのもAnovaの使い勝手がいいところ。
うーん、これは楽しいぞ、Anova。なんだかステマみたいな記事になっちゃったけど、いやいや本当に一円ももらってないから。専用アプリにもレシピはたくさん載っているし(英語だけど)、『Anova Sous Vide Precision Cooker Cookbook』もKindle Unlimitedで読み放題だ(英語だけど)。
ウチでは寸胴にAnovaをセットして使ってる。でも食材はジップロックの中なので、実はある程度の深さでお湯がためられる場所さえあれば、極端な話、バケツでも構わない。これ旅先に持っていってもおもしろそうだなあ。地元の食材を仕入れて、どんどん低温調理するとか、いやあ、やってみたい。これとカセットボンベに取り付けるバーナーがあれば、相当なんとかなるのでは? レポート描くので、スポンサーお待ちしてます。
(次回、10月27日掲載予定です!)
ご紹介いただいた書籍はこちら! 『Anova Sous Vide Precision Cooker Cookbook』 Isabelle Dauphin (HHF Press) |