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電子書籍の書評ランキング

作家・水野俊哉氏が選ぶ! あなたを成功に導く ビジネス書6選 ~6冊目~『これからの「正義」の話をしよう』

2018年10月1日

著者累計40万部の作家・水野俊哉さんが新著『人生を勝ち抜く! 「成功本」50冊 超読書術』(ゴマブックス)を発売されました。電子書籍ランキング.comでは、本書の内容を一部抜粋して全6回の連載を行います。
 
本書は、これまで出版されたビジネス書のなかでも、とくに「人生を成功に導く」ために読んでおきたい書籍を目的別に大別して収録しています。
著者・水野氏がどのように「成功本」を読み、行動に移せばよいかを解説しています。また、収録されている本の要約もしているため、本を読むのが苦手な方でも重要なポイントを掴むことができます。
 
本コラムでは、本書の各章から1冊取り上げてご紹介いたします。
今回は第6章「寄り道さえも成功に通ずる」の内容から一部抜粋いたします。
 

これからの「正義」の話をしよう 早川書房,2010年刊


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images 5段階書評データ
 
▶ざっくり言うと 「 福祉、自由、美徳」の観点から「正義」を考える
わかりやすさ:4 ■■■■  ライブ感がある
実現可能度 :4 ■■■■  正義の尺度が揺らぐ
著者の成功度:5 ■■■■■ 講義が大人気
読後の影響力:5 ■■■■■ 生き方が変わります
読みごたえ感:4 ■■■■  まるで推理小説のようです

 
book01-1 本書をかいつまんで言うと
 
「あなたは路面電車の運転手で、一人の作業員を犠牲にすれば、五人の作業員を助けられる。あなたはその一人の作業員を殺すべきか?」「サブプライムローンショックで多額の負債を抱えた金融機関の救済のために税金を投入すべきか?」「税金によって救済され
た証券会社の経営者が数千億円の退職金を受け取るのはなぜいけないのか?」「自然災害にみまわれた被災地で、生活必需品を高く売っていいのか? 無料で配布すべきなのか?」
 
本書は、こうした「究極の問い」に対して、ハーバード大学教授のマイケル・サンデル氏が「正義」の観点から挑んでいる。サンデル教授の答えにいたるその思考を追体験することで、我々も根底にある問題の本質に気づくことができる。
 
しかし、本書では「これが正しい」という唯一の正解が導き出されることはない。
なぜなら「正義」とは、「なにを信じているのか」という信念や価値観によって、人それぞれ異なってくるからだ。
 
たとえば、「一人を犠牲にすれば、五人の作業員を助けられる」という冒頭から始まる一連の事例は、「功利主義」という考え方を基にして、「正義」について考えた場合、導き出される考え方である。
 
功利主義とは、「最大幸福原理」とも言い換えられる。道徳の至高の原理は幸福、つまり、苦痛に対する快楽の割合を最大化するという考え方である。しかし、功利主義にも問題がある。そもそも、この考え方で「正義」を判断すれば、個人の権利が無視されることになる。それだけでなく、そもそも苦痛と快楽を測るための尺度が本当に正義を判断するために、正しい基準であるのかという根本的な問題が発生してしまうのだ。
 
Key 本書から得られる勝ち抜けキーワード!
 
2008 年、サブプライムローンによる金融危機で、米国は11 兆ドルという巨額の資産を失った。ブッシュ大統領は大手銀行、証券会社救済のため7000 億ドルの支出を議会に求めた。ウォール街の金融機関が破綻すれば世界の金融が崩壊しかねないからだ。
 
これまで莫大な利益をあげていたウォール街を、国民の税金で救済しようというのである。このケースでは公正かどうかより、経済全体の安全が重視された。
 
問題はそのあとである。なんと、ハイリスクな投資で破綻し、公的資金の注入を受けた企業の経営幹部が、1000 万ドル以上のボーナスの支給を受けたというのだ。
 
むろんアメリカ国民は怒った。サンデル教授は、「企業救済への怒りの核心は、正義に反するという感覚」と問題定義したが、どんな「正義」に反したと人々は感じたのか?
 
多くの政治家は「傲慢で強欲な金融機関」の姿勢を批判した。サンデル教授は、納税者の怒りは、「強欲に報酬を与えるのではなく、失敗に報酬を与えるからだ」と指摘した。
 
投資銀行や証券会社のCEO は「失敗」したのだろうか?
破綻した金融機関のCEO はみな口々に「我々は制御不可能な金融津波の犠牲者である」と主張する。
 
つまり、彼らは「失敗」などしていないというのだ。しかし、もしも彼らの損失または「経済状況」が原因だというのなら、それ以前の莫大な利益も、単に「経済状況」が原因なのかもしれない。はたして彼らの莫大な報酬に正当性はあるのか?
また新たな問題点か浮かび上がるのである。
 
「われわれの議論のいくつかには、福祉の最大化、自由の尊重、美徳の涵養といったことがなにを意味するのかについて見解の相違が表れている。また別の議論には、これらの理念同士が衝突する場合にどうすべきかについて意見の対立が含まれている。政治哲学がこうした不一致をすっきりと解消することはありえない。だが、議論に具体的なかたちを与え、われわれが民主的市民として直面するさまざまな選択肢の道徳的意味をはっきりさせることはできる」と、サンデル教授は述べている。

17432-300x300ここを読み間違えてはいけない

かつて「お金で買えないものはない」とうそぶき、会社は株主のものであり、利益を追求する道具である、と主張する経営者がいた。確かに彼の論理の中では間違いではない。しかし、うまく言葉にはできないが大事な価値観が喪失しているような気がしてならなかった。それは一言でいってしまえば「正義」についての話だったのだと思う。グローバル経済時代に生きる我々にとって「本当に大事なもの」はなにかが明かされる過程がスリリングである。


電子書籍ランキング.com 編集部のオススメポイント

「正義」とははっきりとした正解のない、個々の思想体系ではないかと思います。本書『これからの「正義」の話をしよう』では、読者に「思考する」という行為を繰り返し投げかけてきます。SNSなど情報が氾濫しているといってもいいくらい、日々膨大な情報に接します。今日において、物事を主体的に考えるということはとても重要なのではないでしょうか?
 
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■著者プロフィール

水野俊哉(みずの・としや)
1973年生まれ。作家、出版プロデューサー、経営コンサルタント。ベンチャー起業家、経営コンサルタントとして数多くのベンチャー企業経営に関わりながら、世界中の成功本やビジネス書を読破。
 
近年は富裕層の思考法やライフスタイル、成功法則を広めるべく執筆活動をしている。現在は自ら立ち上げた出版社2社、飲食業などのオーナー業の傍ら、執筆やコンサルティング、出版プロデュース業を営んでいる。
 
著書は、シリーズ10万部突破のベストセラーとなった『成功本50冊「勝ち抜け」案内』の他、『「法則」のトリセツ』)、『お金持ちになるマネー本厳選「50冊」』、『徹底網羅! お金儲けのトリセツ』、『幸福の商社 不幸のデパート』『「99%の人が知らない」人生を思い通りに動かす大富豪の教え』など累計40万部を突破している。

■著書紹介

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<内容紹介>
※この商品は固定レイアウト型の電子書籍です。タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
 
成功本ってこんなふうに読めばよかったんだ……
ちょっとコミカル、ほろりと涙もこぼれる「成功本」の世界
 
経営者、経営コンサルタント、出版と幅広い領域で活躍している水野俊哉が贈る「成功にグッと近づく」成功本読み方指南。
 
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Part3巻末の「未来日記」を記入した時
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