第10回 Kindleでプロの作家になった人の作品を読んでみた

永江一石の電子書籍ダイアリー

第10回 Kindleでプロの作家になった人の作品を読んでみた

2016年7月26日

最近「noteバブル」が囁かれて、「noteが儲かるらしい」という話をTwitterでよく見かける。ただし、ある程度お金を稼ぐためには最初に「知名度」が必要で、それがないと美人女子が下半身でも出さない限り売れるわけがない。noteで「noteで儲ける」っていうのを販売して儲けるのは、主語が「あなたが」ではなく「わたしが」で、情報商材屋と同じ。わたしもネタでnoteに参入しますが(フォローしてね)、「儲ける方法」なんていうのは絶対にやりません。そこのパートは与沢翼くんたちに任せます。本業で十分売り上げあるからね。

さて、Kindle ダイレクト・パブリッシングがサービス開始したときも、

これでだれもが作家になれる!!

と、世界中が湧いた。湧いたはいいけど、実際に作家として名声を得た人はいるのか。自分はKindleをはじめとして電子書籍はいままでえーーっと、三冊出しました。Kindle総合で、1位、2位と5位になりましたけど、販売部数はというと、1位になったのは324円のやつで部数的にはそこそこ行きましたが、これで食うにはキツい。フィリピンの田舎の島なら暮らせるレベル・・・
こちらもそこそこ知名度がいるのはnoteと同じです。普通の人だと認知を高める方法がないからです。自分くらいの知名度でもKindleで年6冊ペースで出していけば細々と食えるかもしれないが、そんな仙人にはなりたくない。

自分の認知を高めるには人並み優れた容姿で原宿歩いてスカウトされるなら別だが、ブログ書いたり、会社の社長やって成功させたり、そりゃもうとんでもない努力と時間がかかる。数年はかかるでしょう。が、本当に才能でいける人も、数少ないけどいるんですよ。


宇宙兵志願 (ハヤカワ文庫SF)
マルコ・クロウスっていうドイツ生まれでアメリカ在住の作家の作品です。サクサク読めるけどかなり面白かった。重厚なSFじゃなくて軽めで恋愛もはいり、スピード感もあって一気に読んでしまいました。

わたし、海外のSF小説がけっこう好きでございまして、ジャック・キャンベルの彷徨える艦隊 旗艦ドーントレス、ジェイ・アランの真紅の戦場: 最強戦士の誕生 (ハヤカワ文庫SF)、ロバート・A・ハインラインの宇宙の戦士、ロバート・ブートナーの孤児たちの軍隊など、どれもライトノベル調で面白いです。大御所ジェイムズ・P・ホーガンより深さはないけどすらすら読めて面白いのです。

マルコ・クラウスさんがKindleでデビューして有名SF作家になったというのは、実は後書き読んで知りました。クラウスさんはブロガーでドイツ軍除隊後にアメリカに移住。なんと元ネットワーク管理者。www そのあと専業主夫になって育児のかたわら、小説を書き始めたそうな。軍隊経験が内容に活きてます。

ですのでTwitterもやってますよ!さっきツイートしたら「いいね」いただきました。
2009年にこの作品を書き上げて、著作権エージェントと出版社に片っ端から売り込むも全敗。しかたなく2011年にブログで、そして2013年にKindle ダイレクト・パブリッシングで自費出版したわけです。

ところがKindleで売れるわけないと思っていたのにもかかわらず、めちゃくちゃ売れて評判になり、数週間後に紙の本での出版契約が決まります。アメリカのAmazonの評価はこんな感じ。物凄い高評価です
スクリーンショット 2016-02-03 9.14.57

それから3年でアメリカのAmazon見たら30冊くらい出してます。才能の宝庫・・・
現在は作家専業でいけてるそうですよ。そりゃそうだ。

同様に

この作品もKindleから火が付いて紙の書籍で販売されるようになったそうです。

素人がKindleでひっそり出しても売れるわけはない

さて、このクラウスさんの成功事例を見ると、いくつか「プロになるための要素」が浮かびます。

1 才能がある

一発屋ではない。デビューして2年でこんなにたくさん書けるわけで、単に「SF作家になりたい」という憧れでやっていたわけじゃない。ネタもたくさんあったし、プロとしてやっていける自信もあったはずだ。芸能人が見よう見まねで一冊書いて、有名人だったからぱっと売れてそれきりというのとは違います。

2 ちゃんと営業していた

Kindleで出す前にきちんと出版エージェントや出版社を回り尽くしている。Kindleでひっそり出せばだれかの目に止まって一躍作家の道へ、なんてことは妄想の妄想でしかない。プロになりたいのであれば「営業力」がないとダメなのだ。クラウスさんもKindleで売れたとたんにエージェントと契約できたのは、事前に回ってたからですよ。出版社もエージェントも忙しいから、「Kindleで売れてるな、作家の連絡先を探そう」みたいにはなかなか動きません。事前に面識があったから「やあマルコ、Kindleで売れてるそうじゃないか、紙でも契約するか」って連絡してきたに違いないよ(ほぼ想像)。

サイバラさん見ても売れないうちは出版社回りまくって営業しまくっていました。漫画家になりたいって引きこもって描いてるだけじゃプロにはなれない。営業力って大事です。

3 自分でブログ書いてた

2012年の5月からのエントリーがあります。

スクリーンショット 2016-02-03 9.48.25
http://www.markokloos.com/
作品は2011年にブログで発表したはずだが、いま有料で売ってるものを無料で見せるわけないので、Kindleにしたときに削除したんじゃないかと想像です。

このようにブログなりで自分のファンをたくさん醸していると、いざ行こうというときにかなりの後押しを期待できる。TOKIOがラーメン作るためにソウダガツオ釣るところからはじまるんかい!!みたいな話ですが、数年掛けて知名度上げたり、たくさんの人にファンになってもらったり、そこからやらないとプロにはなれないのですよ。

「儲かるらしい。じゃ俺もやろうっと」では、儲けたい人の鴨になるだけ。すぐに儲かるのはオレオレ詐欺くらいだが、それ、犯罪だからさ。いやオレオレ詐欺だってノウハウを確立するまでには何年もかかったろう。ましてやまともな形でいきたいのなら、ひとつひとつ着実にやっていくしかないのでした。ちょこっとやってみる程度でお金は稼げないですよ。

(次回は、8月2日掲載予定)

永江一石のITマーケティング日記」2016年2月3日より:https://www.landerblue.co.jp/blog/?p=24955

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