#273 あなたの髪を、洗わせて
あなたの頭の形が好き。
あなたの髪を洗う。
あなたは、私に完全に委ねてくれる。
委ねられ感が、心地いい。
委ねているあなたより、委ねられている私が、心地いい。
あなたは、目を閉じている。
私は、あなたの後ろから、あなたの頭を好きにさせてもらう。
この中に、あんなに素敵なお話が詰まっている。
あなたの頭の形を、手で味わう。
あなたの頭蓋骨の形が好き。
長く伸びた首。
あなたの頭には、こんなにロマンティックが詰まっているのに、あなたの顔はこんなに小さい。
あなたの大きな耳も好き。
改めて見ると、あなたは耳が大きい。
大きな耳も、宇宙人っぽくて好き。
妖精っぽいという言い方のほうがいいわね。
耳が大きいのではなくて、顔とのバランスがいい。
あなたにメイクをするメイクさんは、あなたにメイクをする時、ドキドキしてるに違いない。
こうしているだけで、私は、かなり危ない。
美容院で、あなたの髪を洗う美容師さんは、きっとドキドキしてるに違いない。
それを想像して、私がドキドキしている。
あなたの毛穴の1本1本を味わう。
味わって、いっちゃった。
もう、あなたの髪を洗っているのではなかった。
あなたの髪を洗うふりで、あなたの地肌を触りまくっている。
他のところを触るより、あなたの頭の地肌を触るって、ちょっとドキドキする。
泡をつけて、お湯で湿らせて。
あなたの鼻筋の先の、反則な唇に見とれている。
お湯が、出続けている。