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#267 あなたに、見抜かれたい

あなたの、面接が、好き。
初めて、あなたに会った時、なんであんな風に、言ったんだろう。
私から、声をかけた。
「この後、空いてますか」
とは、言わなかった。
あなたが、空いてるはずはない。
「この後のデートは、何時に終わりますか」
とも、言わなかった。
あなたは、そんな短い時間で、お茶を濁すようなデートをするわけがない。
普通は、「この後、空いてますか」だし、がんばっても「この後のデートは、何時に終わりますか」で精一杯のはずだ。
私は、言ったことのない言葉を言った。
「交ぜてもらって、いいですか」
なぜ、そんな風に言ったか、今でもわからない。
あの時、とっさに出た言葉が、この言葉だった。
この言葉を言ったから、合格ではない。
誰でも、交ぜてもらえるわけではないからだ。
不合格もある。
不合格だったら、さっと引き下がろうと思っていた。
不合格なのに、粘るお子様女を、あなたは一番嫌うからだ。
不合格だったら、女を磨いて、レベルアップしてから出直そうと思っていた。
あなたの面接は、一瞬で決まる。
「この後、空いてますか」
不合格。
「この後のデートは、何時に終わりますか」
不合格。
「交ぜてもらって、いいですか」に不合格なのに、粘る。
出場停止。
あなたには、小手先のテクニックは通じない。
1秒で、全人生を見抜いてくれるあなたが、好き。



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