#277 私の中が、膨らんでいく
あなたの1人でいるところが、好き。
あなたは、いつも1人でいる。
みんなが寄ってくるはずなのに、1人でいる。
気がつくと、あなたはいなくなっている。
美人に取り囲まれているところも、好き。
女の子たちが、ぽっとなっているのを見るのも、好き。
男性までもが、女の子みたいになっている。
みんなは、あなたが、酒とバラの日々だと思っている。
実際、そうしていても、変じゃない。
でもあなたは、酒とバラの日々から、最も遠いところにいる。
修行僧のように、1人でいる。
喧騒の中で、まったくの無音の中に、あなたはいる。
あなたは、あなただけの音楽を聴いている。
仏像のような、表情。
彫刻のような、表情。
遠くを見るような表情でもある。
かすかに、微笑んでいるような表情でもある。
拒絶しているようではなく、受け入れながらも、1人でたたずんでいる。
ものすごいオーラを持ちながら、透明人間にもなる。
あなたが、透明人間になる瞬間が好き。
気配が、空気と同化する。
そこにいながら、そこにいない。
そして、あらゆるところに、いる。
空気のようになったあなたを、抱きしめたい。
抱きしめながら、抱きしめられたい。
空気のようなあなたに抱きしめられながら、私の中が、膨らんでいく。
しぼんだ風船に、空気が送り込まれるように、私の中が、膨らんでいく。