#289 彼女の唇を、見てしまう
あなたの唇が、好き。
最近、女の子の唇を見てしまっていることに気づいた。
今まで、そんなことはなかった。
今日も、かわいい女の子がいた。
今までだったら、かわいいなと感じて、それ以上、想像をすることはなかった。
唇は、どんな感触だろうと、想像してしまっている。
もう、想像では、この子の唇を、味わってしまっている。
女の子と、エッチできるかどうかは、その子とのキスを想像できるかどうか。
その女の子と、キスが想像できれば、その子とエッチもできる。
想像できるかどうかというより、すでに想像してしまっている。
彼女の唇に、私の唇が、当たる。
柔らかい。
湿っている。
なんだろう。
初めてのモノを、食べる時の感覚。
何かに、似ているけど、思い出せない。
閉じているはずの唇が、かすかに開いている。
受け入れてくれる感じ。
柔らかさは、受け入れてくれている証し。
硬いものが、触れた。
彼女のうさぎのような、かわいい前歯だった。
歯に当たるということは、唇が開かれて、私を受け入れてくれているということだ。
歯が、少しずつ、開かれた。
ムリヤリ広げたのではない。
彼女の歯が、開いた。
開いた彼女の歯の間に、私の舌が、吸い込まれた。
真空状態に吸い込まれていくように。
次の瞬間、私の舌が、何かに捕まった。
大きなクジラに飲み込まれたように。
彼女の舌が、私の舌を吸い込んだ。
彼女の唇の柔らかさは、あなたの唇の柔らかさだった。