#296 横顔を、見せて
あなたの横顔が、好き。
あなたの1人でいる時も好き。
一緒にいる時のあなたも、好き。
女の子に囲まれている社交的なあなたも、好き。
男の人たちから、羨望の眼差しを向けられているあなたも、好き。
それを見ている人は、あなたのまわりには、いつも美人が侍っていると思うだろうな。
酒とバラの日々だと思われている。
でも、私は知っている。
あなたは、1人でいる時間が、圧倒的に長い。
結果として1人でいるのではなくて、こっそり1人になっている。
男の人が、あなたに聞いた。
「どうしたら、そんなにモテるんですか」
そばにいた女の子が、言った。
「その質問は、聞く人を間違えてるわよ。モテモテのこの人は、どうしたら、1人で帰れるかを考えているのよ」
いい女が、あなたをお持ち帰りしようと、狙っている。
あなたは、するりとすり抜けて、1人で帰る達人。
みんなが、あなたを探している間、あなたは1人で、本を読んでいる。
絶世の美女も、あなたの本の世界には、勝てない。
相手が本なので、ヤキモチの焼きようがない。
そもそも、あなたにヤキモチを焼く感覚がない。
他の女の子と、キスをしていても、見惚れてしまう。
あなたの色気は、1人の時間に、醸し出される。
一緒にいても、膨大な1人の時間のあなたが、漂ってくる。
そこが好き。
1人を愛する男に、抱かれたい。
あんなにおしゃべりが上手なのに、黙っているあなたに、ドキドキする。
美人に取り囲まれて微笑んでいる時も、あなたは1人の世界に飛び立つ。
1人で、窓の外を、眺めているあなた。
その横顔が好き。