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#305 あなたの胸の中に、すっぽり入って

あなたの腕枕が、好き。
あなたに会うまで、腕枕が、好きじゃなかった。
居心地が、悪いと感じていた。
それは、本当の腕枕を知らなかっただけ。
腕枕は、腕に乗るものと思っていた。
あなたの腕枕は、腕じゃない。
肩でもない。
あなたの腕枕は、あなたの胸の中。
胸の上でもなくて、腕の中に包み込まれる。
包み込まれるというより、すっぽり中に入る。
仏像のお腹の中に、もう1つの仏像があるのを、お寺で見た。
その時、思った。
あ、あなたの腕枕って、これだ。
あなたに腕枕してもらうと、あなたの中に入る感じ。
だから、心地いい。
大きな、着ぐるみを着ている感じ。
お布団の外から、誰かが見たら、2人で寝ているのが、わからない感じ。
こっそり、あなたのお布団に忍び込んでも、腕枕をしてもらっていたら、ばれない。
そんな妄想をして、感じた。
違和感がない。
あなたの胸の中に、私の入る用のスペースが、最初から存在して、私を待ってくれてたみたい。
「腕枕をしてもらうコツは」って、女の子に聞かれた。
彼女は、やっぱり腕枕が骨に当たって、心地よくないらしい。
コツは、心地悪かったら、もっと思い切って近づくことね。
あなたにしてもらったら。
ただし、抜け出せなくなるから、覚悟しないと。
あなたの腕枕は、冬眠している気分。
ずっと、ずっと、こうしていさせてね。



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