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#312 別れた後も、いく

あなたの余韻が好き。
キスでいってから、唇が近づいただけでいくようになった。
顔を見ただけで、いってしまうようになり、とうとう、思い浮かべただけで、いってしまった。
最初のうちは、困った。
外にいる時に、あなたからメールが届いた。
その瞬間、いってしまった。
仕事中だった。
最近、上手になった。
いきながらも、いったことをカムフラージュするのが、上手になった。
いってるのに、何事もないふりをする。
そうすると、ますます感じる。
新たな快感を知ってしまった。
あなたは、いつも、新しい快感を教えてくれる。
こんないき方も、知ってしまった。
あなたと「またね」と別れた後。
あなたを見送って、歩いていた。
突然。
いってしまった。
会う前にもいくのに、会った後も、いってしまう。
何事もないふりを、装った。
会った後にいくのは、1回では、終わらなかった。
しばらくしてから、2度め。
それからまた、しばらくしてから、3度め。
いく大きさは、ちっとも小さくなっていかなかった。
むしろ、大きくなっていくくらいだった。
いつまで、続くのかしら。
カムフラージュの仕方は上手になっていくけど、その分、いく大きさも大きくなっていく。
電車の中で、座っていた。
ビクッと、なってしまった。
隣の女の子が、気づいた。
居眠りをして、夢を見たふりをした。
私は、まだあなたの夢の中にいた。



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