#313 始発のピンポンの悦楽
あなたの、寝ぼけまなこが好き。
朝、あなたのお部屋のチャイムを押した。
「始発で、行きますね」
と、あなたにメールをした。
あなたは、夢の中。
「待ってるね」の返事はなかった。
それでも、テレパシーで感じている。
あなたには「今日は、ちょっと」がない。
安心。
もし、他の女の子がいたら。
それでも、あなたは交ぜてくれる。
交ぜてくれる余裕のある女の子を、あなたは選ぶ。
だから、安心。
他の女の子がいたらどうしようというより、いたらいいのに、とドキドキしてしまう。
こんなドキドキを感じさせてくれるのは、あなただけ。
ドアが、開いた。
前髪が下りて、寝ぼけまなこのあなたが、私を抱きしめてくれる。
温かい。
あなたの香りに、包まれる。
他の女の子は、いなかった。
残念。
次回のお楽しみ。
「メール、見た?」なんて、聞かなくていい。
「ごめん、メール、見てない」なんて、あなたは言わない。
あなたのハグが、「待ってたよ」と語ってくれている。
カーテンの閉じられた暗い部屋の中に、そのまま、抱きしめて運んでくれる。
パジャマのあなた。
スーツの私。
着たまま、ベッドの中なんて、ちょっとエッチ。
起きないでね。
夢うつつのあなたを、これから味わわせてね。
朝サイズのあなたを、味わう。
始発のピンポンの楽しみ。





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