#315 開くことも、そろえることも
あなたの魔法が好き。
あなたは、周りの空気を変える。
あなたと朝食のカフェに入った。
テラス席は、まだ残暑が厳しいので、室内にした。
室内は、うるさかった。
失敗したかな。
まるで、女湯のように、女の子同士であふれていた。
よく朝から、こんなオシャレなお店で、アルコールもなしに、ここまで大声で激論を交わせるなと感心する。
美人の子たちなのに、残念。
女の子同士でも、ゆったりと静かに語り合えるようでなくちゃ。
そういうことも、あなたといることで、学べた。
あなたといると、おしとやかになる。
余裕が生まれる。
ちょっと暑くても、外のテラス席にするべきだったかなと、反省した。
あなたは、女の子たちの動物園の鳥獣館のような嬌声(きょうせい)も、どこ吹く風で、涼し気でいる。
きっと、うるさい音を遮断するミュート機能を持っている。
あら?
さっきまで、あんなにうるさかった室内が、急に静かになった。
スマホタイムに入ったかな。
見渡すと、スマホを見ているわけでもない。
理由が、わかった。
あなたが入ってきた時、中にいる女の子たちが、あなたを一斉に見た。
まるで、ボールルームに王子が登場したかのように。
おばちゃんになっていた女の子たちが、お姫様に変身した。
あなたの魔法。
そう言えば、昨日の夜のお店でも、同じことがあった。
おしとやかにしなさいと、言わなくてもいい。
王子がいるだけで、女の子は、おしとやかになれる。
隣の女の子が、さっきまで組んでいた足を、淑女のようにそろえた。
そろえた脚は、開いた脚よりも、セクシーだった。
あなたは、女の子の脚を開くことも、そろえることも、できるのね。
そろえた脚を、あなたに開いてほしくなった。