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#332 私のスレイマン大帝に

あなたの、好きな漫画が好き。
お気に入りの少女漫画がある。
あなたに、教えてもらった。
16世紀、オスマントルコのスレイマン大帝とハーレムの側室のお話。
実在した人物に基づいてい描かれている。
ハーレムが、愛にあふれた場所であることを知った。
ハーレムには、教養が求められることを知った。
あなたが、最新刊をくれた。
物語の中で、スレイマン大帝とヒロインの場面が好き。
私の中では、スレイマン大帝は、あなたそっくり。
作者は、あなたをモデルに描いているのではないかと思うほど。
最新刊で、素敵な場面があった。
ハーレムの多くの美女の中から、この夜も、ヒロインが選ばれる。
美女たちに、うらやまれながら、寝室に赴く。
ヒロインが、ご奉仕しようとすると、スレイマン大帝が言う。
「先に、寝ていいよ」
この一見冷たい言葉も、スレイマン大帝の場合は、世界一、優しい言葉になる。
「おまえは」
この「おまえ」と言う言葉も、スレイマン大帝の唇から出ると、高貴な響きになる。
「おまえは、まとわりつかなくていい」
私は、あなたを癒やしたいと思っていただけ。
うふ、「あなた」って、言ってしまった。
ヒロインではなく、「私」って言ってしまってるし。
「読みたい本があるから」
美女を選び放題できるあなたは、本を読ませてくれる私を選んでくれた。
それが、うれしかった。
私は、この漫画を、スレイマン大帝のお話ではなく、あなたのお話として読んでいる。
最新刊では、この場面が、一番好き。
私は、目の前のスレイマン大帝に、申し上げた。
21世紀のスレイマン大帝は、私を見て、目で微笑んだ。
その目は、「僕も、同じところが、一番好きだよ」と、ささやいていた。



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