#349 膨大な、はるか彼方に
あなたと会える前の夜が好き。
明日は、あなたに会える。
あと何時間、と数える。
でも、あなたにとっては、大変。
これから、あなたの競争が始まる。
「もうすぐ」という時間の間に、あなたがしなければならない事は、膨大な量がある。
膨大なインプット。
そして、膨大なアウトプット。
それを、誰も理解できない。
あなたが、どれだけの膨大さと格闘しているかを。
「お忙しいんでしょう」
誰もが軽く、あなたに言う。
あなたは、微笑んでいる。
そんな、あなたも好き。
あなたの膨大な量は「お忙しい」という言葉では、表現できない。
どれだけ忙しいかを、説明しようともしない。
伝わらないことがわかっている。
伝えている時間も、もったいない。
私にも、正直、あなたの膨大な量がどれくらいのものかは、わからない。
ただ、これだけはわかる。
その量は、誰も理解できない。
本当は、講演なんかしているヒマはない。
本当は、テレビなんか、出ているヒマはない。
本当は、本なんか、書いているヒマはない。
あなたにしかできないことをするために、他の誰かにもできることを、しなくていい。
あなたは、優しい。
頼まれたら、それどころではないのに、引き受ける。
みんなは、したくてしているのだと、思い込んでいる。
それをいちいち説明しないあなたも好き。
引き受けるあなたも、好き。
もうすぐ、あなたに会える。
あなたにとっては、膨大なするべき山の、はるか彼方(かなた)だけど。