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#353 シベリアンな、あなた

あなたの眉が好き。
あなたの眉を、指でなぞりながら、改めて見た。
あなたの凛々(りり)しい眉に、ぞくぞくする。
やっぱり。
今日、街で、シベリアン・ハスキーと目が合ったのを思い出した。
ブルーの目のシベリアン。
南青山のスターバックスのテラス席。
きちんとしたお座りをしていた。
飼い主さんは、レジに並んでいて、一見、結ばれているように見えるリードも、椅子に置かれているだけで、結ばれていなかった。
ご主人さんは、ブロンドの美人だった。
美人・美男カップル。
シベリアンくんが、私をちらりと見た。
目線が、合った。
シベリアン・ハスキーの顔は、2通りある。
アラスカン・マラミュートのような優しい顔と、眉がきりりとした凛々しい顔。
この子は、凛々しい系だった。
私は心の中で、凛(りん)くんと名前をつけた。
凛くんを見て、あなたを思い出した。
あなたに似ていた。
今、ベッドの中で、あなたの胸の上に乗って、あなたの眉を味わう。
彫りの深い顔。
目頭と鼻筋の間が、まるでシャドーを塗ったように、影になっている。
鼻の高さを、さらに際立たせる。
会った時より、ますます、そのシャドーが深くなった。
長い眉の山が、エベレストのように切り立っている。
こんなに厳しい眉をしているのに、好対照の澄んだ瞳。
あなたの瞳はブラックだけど、凛くんの透明なブルーの瞳にも似ている。
アルプスの切り立った山の麓にある、透明な湖を思い浮かばせる。
あなたの眉と鼻筋の山脈はどこまでも高く、あなたの瞳の湖は、どこまでも透明で深い。
スタバを出る時、凛くんを見ると、凛くんも私を見ていた。
しばらくの時間、目と目で会話した。
知ってるよ。
凛くんは、あなたでしょ。



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