#363 ニュースのまま、抱き締めて
あなたの、ニュースの時のコーディネートが好き。
あなたが、ニュース番組のコメンテーターをしている番組を見るのが、好き。
誰も突っ込まないけど、あなたの服のコーディネートに、まず目を奪われる。
この季節だから、このテーマにしたのかなと、考える時間が楽しい。
スーツの素材と色を合わせる。
イングリッシュ・タブカラーの高い襟に、ネクタイを細くフォア・イン・ハンドに結んでいる。
ポケットチーフの色も、畳み方も、工夫している。
髪形も、その都度、微妙に変わっている。
男性は気づかないけど、女性は気づいている。
ネクタイの色も、スーツに絶妙に合わせている。
それは、実家が染物屋さんなので、色合わせは、子供の頃から鍛えられたお家芸。
あなたのコーディネートばかりに見とれていて、ニュースが全く入ってこない。
朝から、爽やかすぎる。
前の日から、明日の朝、あなたはどんなスーツで登場するか、想像するのが楽しみ。
季節に合わせて明るい色かなと考えた時、意外に、ダークめのスーツのことがあった。
その日は、かわいそうな事件があった。
朝、ニュースに合わせて、あなたが急遽、服を着替えているところを想像してしまった。
スーツを変えると、ネクタイほか全てを変えなければならない。
ニュースでは、上半身しか映らないけど、見えない下半身までオシャレをしているのが、わかる。
トラウザーズには、アイロンしたてのような折り目が入っている。
靴も、スーツにコーディネートしている。
トラウザーズのポケットにも、アイロンしたてのハンカチが入っている。
爽やかさは、なんとなく生まれているのではない。
見えないところに気を配っているところから、生まれている。
何よりも、その全てを受け止める背筋が、スツールの上で、バランスを保っている。
テレビを見ながら、触りたくなっている。
テレパシーで、お願いする。
今度会う時、今日のコーディネートで来てね。
そのまま、抱きつきたいから。