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#367 舐めて、いい

あなたの味が好き。
あなたに初めて会った時のことを、いつも思い出す。
こんなに会ってるのに。
初めて会った時、走馬灯が流れた。
よく、天国に行く時に人生が走馬灯のように流れて見える、って言う。
私は、あなたに会った瞬間に、これからあなたと体験する出来事が走馬灯のように見えた。
心の中で、つぶやいていた。
「舐(な)めて、いい?」
「舐めたい」ではなくて、「舐めて、いい?」
感想ではなくて、質問になっている。
声に出たかもしれない。
初対面で、いきなり「舐めて、いい?」と言われたら、驚かせてしまう。
でも、あなたは驚かない。
きっと、歓迎してくれる。
あなたには、声に出なくても、テレパシーで通じている。
「舐めて、いいよ」
と、あなたが言ったように、聞こえた。
見た瞬間に、「舐めたい」と感じた。
「知りたい」とか「付き合いたい」ではなくて、「舐めたい」。
おいしそうな食べ物を見た時の感覚に似ている。
「いつか、舐めていいですか」でもない。
「今、舐めていいですか」という感覚。
しかも、「舐めていいですか」という敬語ではない。
「舐めて、いい?」
もう、何年も付き合っている間柄の言い方だ。
「いつものように、舐めていい?」という感じ。
そう言いながら、想像では、もう舐めていた。
あなたの全身を。
どこを舐めたいという感覚ではなく、全身を舐めたかった。
私の感覚器は、私の唇と舌に集中していた。
今から振り返ると、想像で舐めたのか、実際に舐めたのかの区別がつかない。
95%の確率で、実際に舐めていた。
舐めてから、「舐めて、いい?」と聞いたのだった。



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