#387 のんびり&いきなりダッシュ
あなたの冒険が、好き。
あなたと旅行した。
列車の時間は、1時間に1本。
なのに、あなたは時間通りに案内してくれる。
あなたが着くと、ちょうどいい時間に列車が来る。
どうやって、ダンドリをしているのか、不思議。
最初は、偶然だと思っていた。
日頃の行いがいいから、神様が味方してくれていると思っていた。
ところが、毎回となると、運だけではないことが分かった。
そろそろ、帰りの駅に向かうのかなと思った。
こっちのお庭も、寄っていこう。
こういう時は、あなたはアドリブ。
まるで、自分の庭のように案内してくれる。
前にも、来たことがあるの?
「初めて」
あなたは、笑う。
私は、いつも驚かされる。
駅に着く。
列車は、何分かしらと、時刻表を見ようとする。
「49分、たぶん」
スパイのように、ダンドリしている。
それが嫌らしくない。
時間は、ちょうど。
コーヒーと、わらび餅を買ってくれる。
行きの時、わらび餅を見ていたのを、見られた。
地方は、のんびりしている。
コーヒーショップも、ゆっくり。
わらび餅も、その場でゆっくり、包んでくれる。
切符を買う。
新人の駅員さんが、いっぱいいっぱいで、コンピューターの操作を何度も失敗する。
発車のチャイムが鳴っている。
そんな時でも、あなたはのんびりしている。
私の手を取って、走る。
列車に、滑り込む。
あっ、ロッカーに荷物を忘れた。
あなたが、いつの間にかロッカーから出した荷物を、棚に上げてくれていた。
あなたと、走るのが好き。