#388 あなたと、いると
あなたの記憶力が好き。
あなたと、初めて会った時、初めて会った気がしなかった。
きっと、あなたもそう感じていた。
あなたは、私と違って、前世で会った記憶をはっきり持ってくれていた。
まるで、幼なじみに会ったように、ほほ笑んでくれた。
「初めまして」ではなく「久しぶり、元気?」という感じの笑顔だった。
また、会えるかな。
また、会いたい。
あなたは、そんな私の心の声も、聞き取ってくれていた。
「これから、いっぱい、会うことになってるよ」
「これから、いっぱい会おうね」ではなくて、「会うことに、なってるよ」って。
不思議な言い回しだった。
まるで、未来を知っているかのような言い方だった。
「この道を真っすぐ行くと、美術館があるよ」っていう、言い方だった。
しかも、その言い切りを、素直に信じることができた。
あなたは、過去も、未来も知っている。
そして、今この瞬間も、楽しんでいる。
だからね。
電車にギリギリ、遅れそうになっても、悠然としている。
もたもたしている人に、イラッとしたりしない。
トラブルに巻き込まれても、ニコニコ笑っている。
あなたは、なんとかなることを、知っている。
どうなるか分からないけど、なんとかなる。
私は、前世を覚えていない。
来世も、分からない。
たった1つだけ、分かることがある。
あなたといると、なんとかなる。
もう1つあった。
あなたと、これから、ずっと一緒にいる。
もう1つあった。
あなたと、これまでもずっと一緒にいた。
あ、もう1つ。
あなたといると、幸せ。