#408 濡れた音だけが
あなたの無音さが、好き。
あなたと、並んで歩いていた。
あなたと、歩くのが、好き。
ふと、気づいた。
足音が、私の足音しか聞こえない。
一緒に歩いているはずなのに。
足音が、1人分しか、聞こえない。
こっそり、あなたの足元を、見た。
足はある。
あなたは、幽霊じゃない。
こっそり、あなたの脚に触れてみた。
感触がある。
気持ちいい。
確かに、あなたは歩いている。
なのに、足音が、しない。
まるで、空中に浮いているように、足音がしない。
やっぱり、あなたは、この世のものではないのかもしれない。
あなたには、人間のような体重が存在しない。
こんなに筋肉があるのに、重さがない。
重さがないのではない。
音がない。
足音だけじゃない。
あなたが、グラスを置く時、音がしない。
あなたが、ドアを閉める時、音がしない。
あなたは、手でグラスを持っているのでなくて、魔法でグラスを持ち上げている。
だから、音がしない。
あなたは、ドアを閉めているのではない。
ドアを閉めているようにみせかけて、実は、ドアは最初から閉まっている。
そもそも、開けてもいない。
あなたは、ドアを開けずに、ドアを擦り抜けて入ってきている。
なぜなら、あなたは、魔法使いだから。
あなたが私を抱きしめる時、私の濡れた音だけが、聞こえてくる。





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