#413 森の香りに、誘われて
あなたの香りが、好き。
あなたから、香りがした。
何の香りだろう。
目を閉じて、思い浮かべる。
いい香り。
木の香りなのか。
太陽の香りも混じっている。
滝の香りもする。
土の香りも、入っている。
深呼吸する。
森林浴をしているみたい。
都会のど真ん中にいることを、忘れてしまう。
ついさっきまで、バタバタしていた。
なにでバタバタしていたか、忘れてしまった。
お寺かな、神社かな。
お香の香りのような気もする。
あなたのどこから、この香りがするのだろう。
どこからでもない。
あなた全体から、香りが漂ってくる。
あなたに会う前から、この香りが、先にやってくる。
あなたの香りは、かなり遠くまで、届く。
あなたが帰ったあとも、この香りが、残る。
もし、私がタバコを吸っていたら、あなたに会って、きっとやめたに違いない。
あなたの香りを、味わえなくなるから。
あなたの書いた優しいひと言のメモにも、あなたの森の香りが残っている。
あなたの香りに、癒やされる。
クンクンかぐような香りではない。
私の体全体で吸い込みたくなるような香り。
森の中でする深呼吸のような深い呼吸になる。
初めて会った時、この香りがしたのを、思い出した。
この香りで、好きになった。