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#422 隣の席の女の子と

あなたの罪が好き。
あなたは、子供のように天真爛漫。
自分の魔法にも、気づいていない。
あなたと、レストランに入る。
デート用のおしゃれなレストラン。
プロポーズに使うようなおしゃれなレストラン。
あなたは、まるで、自分の台所のように、落ち着いている。
座っていなければ、オーナーさんと間違えられる。
周りは、カップルだらけ。
男性は、緊張している。
そう見えるのは、あなたがオーナーのように、落ち着いているから。
レストランに連れてきてもらっている女の子がみんな美人ぞろい。
おしゃれなお店に連れてきてもらえるレベルである証し。
そのレベルの高い女の子たちが、みんなあなたを見ている。
もちろん、あなたはそんなことは、まったく気づいていない。
いつも通り、優しい ほほ笑みを浮かべている。
あなたの ほほ笑みは、女の子を、幸せにする。
周りの女の子たちが、髪の毛を触っている。
女の子が、一斉に、化粧室に立った。
理由を、私は知っている。
いつものことだから。
メイクを直すため。
お連れの男性のためにではなく、あなたに対して。
化粧室から戻る時、あなたをちらりと、きっと見る。
ほら戻ってきた。
やっぱり、見た。
あなたは、メイク直しをした女の子にも、ほほ笑みを返す。
あなたのそんなところが、好き。
女の子の頬が、赤くなる。
元の席に戻ったあと、女の子が、ほほ笑みながら、ちょっと切なそうな顔になるのを、私だけが気づいている。
なんで、自分は、あなたみたいな素敵な男性と、一緒に来ていないのか、切なくなる。
あなたが気づいていない、あなたの罪。



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