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#424 間違えて、なかった

あなたの周りにいる大人の女性が好き。
あなたと、ホテルの高層階にあるレストランにいた。
夜景が広がっていた。
眼下に、プールが見える。
プールのあるフロアで、45階。
52階のフロアから見下ろすと、夜の空の濃紺に、プールのライト・ブルーが、映える。
1人の女性が、泳ぐのが見えた。
奇麗な泳ぎだった。
その横を、奇麗な泳ぎの男性が泳いでていた。
あなたのようだった。
ひょっとして、今ここにいたあなたが、泳いでいるのかと思った。
振り返ると、あなたのダークネイビーのスーツが、夜の空の濃紺に、浮かび上がっていた。
クロークに預けた帽子を、受け取るのを待っていた。
ちょうど、クロークが混み合っていた。
こんな時も、あなたはイライラしないで、ニコニコして立っている。
待つことを、楽しんでいる。
一緒にいる私まで、楽しくなる。
「すみません、お願いします」
美人が、あなたにクロークの札を渡した。
いつものように、ホテルマンに間違えられた。
こんなカッコいいホテルマンがいるとしたら、総支配人か、オーナーだって。
あなたは、ニッコリほほ笑んで、札を見て、クロークの中に入っていく。
「ただいま、お持ちします」
あなたが、クロークの中に入っても、あまりにも自然なので、ほかのホテルのスタッフは、誰も気づかない。
あなたは、どこにでも入っていける。
当たり前のように、女性のコートを持って出てくる。
女性に、着せる。
着せ方が、魔法。
彼女は振り返って、ほほ笑んだ。
クロークの札と一緒に、メモが添えられていた。
彼女は、わざと間違えたふりをしたのだった。
こういう大人の女性に、あなたのそばにいると、出会えるのが好き。



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