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#430 紳士的で、冒険家で

あなたの紳士的で冒険家なところが、好き。
あなたと、大名庭園に行った。
平日は、静か。
時間帯の選び方も、あなたは慣れている。
江戸時代の大名庭園には、外国人の団体さんもいない。
静か。
せせらぎの音だけが、聞こえる。
せせらぎの音が、歩いていくと、滝の音に変わる。
傾斜地を利用した庭園は、大自然を再現している。
まるで、森の中に、迷い込んだみたい。
あちらこちらで、道が2手に、分かれている。
あなたは、迷いなく、歩いていく。
あなたは、どこの庭園に行っても、まるで自分のお庭のように歩く。
2人組の女の子がいた。
外国人の女の子だった。
2人組の女の子が、あなたに、ほほ笑んだ。
そう言えば、さっきから、この2人には、何度か出会っている。
迷路のような庭園なので、何度も出会っても、おかしくない。
かわいい2人組だった。
どこから来た2人組かしら。
エキゾチックな、かわいさがある。
「メキシコからだって」
いつの間にか、あなたは彼女たちと、話していた。
いつ話していたのか、気づかなかった。
日本人でも、退屈しそうな教養の要る大名庭園に来るなんて、2人は、いいところのお嬢さんに違いない。
そうか、さっきから、たまたま、出会っていたのではなかった。
彼女たちが、あなたに付いてきていたのだ。
さすが、いいところのお嬢さんは、誰に付いていけばいいか、よく知っている。
それが、見ず知らずの外国を女の子2人で、安全に旅行する知恵。
かといって、安全すぎても、詰まらない。
お2人さん、凄い人を見つけたね。
大名庭園に、そのために来たのね。



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