#433 読むことは、抱くこと
あなたの思考回路が好き。
あなたと初めて会った時、初めて会った気がしなかった。
あなたの本をたくさん読んでいたから。
他の誰よりも、たくさんの会話を交わした人に感じた。
だから、ずっと前から、会っている気がした。
中学生の時から、読んでいた。
大人の世界を垣間見るようで、ドキドキした。
周りの同級生が、幼く見えてしまった。
本でお話ししていた人と、初めて会ったという驚きは、意外になかった。
いつものように、お話をしている感じだった。
いつものように、本を読んでいる感じで、あなたとお話をしていた。
生身のあなたが、本から抜け出している特別付録みたいな感じだった。
初めて話す人とは、会話がぎこちなくなる。
あなたとは、全くスムーズに話せた。
だって、本であなたの会話のリズム感が分かっていたから。
あなたの言葉の一言、一言が、スルスルと頭に入ってきた。
あなたが、一言言うだけで、補足説明は要らなかった。
むしろ、はしょっても、いいくらいだった。
会話が、とびとびになっても、違和感なく、通じていた。
それが、楽しい。
あなたの思考回路が、私の中に、入っていた。
本を読むって、読む側の心が、丸裸になる。
本を書く人も、丸裸になる。
本を読むことは、読む人と、書く人が、丸裸になって、抱き合うことと同じ。
毎晩、眠る前、ベッドの中で、あなたと抱き合っていた。
私が、読んでいたから、丸裸のあなたを、抱き締めていた。
だから、あなたのことは、全部分かる。
1冊読んだら、1回したのと同じ。
1回、どころではない。
私は、毎晩、あなたを抱いていた。
抱けば抱くほど、あなたが、いとしくなった。
だから、こんなにリラックスして、ドキドキしている。