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#440 木々があなたに、香りを放つ

あなたの、公園での木への接し方が好き。
あなたと、公園に行くのが好き。
あなたは、公園を味わっている。
見ているだけじゃない。
五感で、公園を味わっている。
海辺の公園には、磯の香りがした。
都会の海でも、さすが海は海。
磯の香りは、都会の喧騒(けんそう)なんか、吹き飛ばしてしまう。
違う。
あなたが、磯の香りを引き寄せている。
磯の香りは、あなたを求めて、海からやってきた。
前にも、この公園に何度も来たことがある。
一度も、磯の香りがしたことはなかった。
香りは、人を選ぶ。
そう言えば。
今日は、あちこちから、いろんないい香りが漂ってくる。
そういう季節なのかなと思っていた。
違った。
木々が、あなたに香りを送っていたのだ。
香りは、木々からあなたへのラブレター。
気づいて、触って、抱き締めてほしいという木の思いが、香りになってあなたに届く。
木の香りは、エッチな匂いがした。
誘う香りというより、恍惚のあとの香りだった。
木は、もうすでに、あなたに絶頂に導かれていたのだった。



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