#443 あなたの振動が、止まらない
あなたの振動が、好き。
カフェで、本を読んでいた。
ふと、振動を感じた。
地震かな。
天井からつるされているライトを見た。
揺れていない。
周りの人も、地震に驚いている気配もない。
貧乏揺すりをしている人もいない。
そう言えば、さっきの美術館でも、振動を感じた。
工事をしているのか。
地下鉄が、美術館の下を通っているのか。
昨日、映画館でも、感じた。
椅子が振動した。
振動する方式の映画館ではない。
振動するような場面でもない。
マニアックな映画で、同じ列に人は座っていなかった。
シネコンの他のスクリーンでも、振動型の映画は上映されていなかった。
自分の心臓の不調かとも心配になった。
定期健診では、異常なしだった。
振動を感じる理由に、気づいた。
あなただった。
振動を感じる時の共通点がある。
私の気持ちが動いている時だ。
振動は、心地よい。
あなたは、私に振動を与えてくれる。
外からも、中からも。
あなたと会うと、振動が始まる。
あなたと会ったあとも、振動が止まらない。
あなたの隣で寝ている時も、振動を感じる。
あなたの寝顔を見た。
天使のように眠っている。
私の体の振動が、続いている。
天使の寝顔を見ながら、いってしまった。
触ってもいないのに。