#446 めくりながら、めくられる
あなたの分厚さが、好き。
あなたの腕枕の中で、夢を見た。
また、同じ夢だ。
子供の頃から、何度も見ている。
不思議な夢だった。
本のページを、めくる夢。
その本が、無限に分厚い。
めくっても、めくっても、なくならない。
無限の階段を上っているように、本のページが、パラパラと開いていく。
ページをパラパラと開く時、本の厚みで、弾力が生まれる。
その弾力が、なんとも言えず、気持ちいい。
その夢を、初めて見たのは、小学校の高学年の時だった。
目が覚めた時、恥ずかしかった。
エッチな夢ではないのに、こんな夢を見ているとバレたら、恥ずかしいと感じた。
下着が、濡れていた。
それから、何度も、同じ夢を見た。
見るたびに、濡れていた。
見ることを、期待するようになった。
繰り返し見るうちに、その夢を味わえるようになっていった。
私が本のページをめくっているのか、私が本のページになって、めくられているのか、分からなくなった。
夢は、二役を演じる。
めくっているのも私で、めくられているのも私。
私は、めくる快感と、めくられる快感を、同時に味わっていた。
どこまでも続く快感。
分厚い本のページをめくる弾力性。
目が覚めてからも、もう一度、その夢を思い出して、濡れているところを味わった。
あの感覚は、これだった。
あなたの腕枕の中で、分厚い本を、どこまでもめくる快感を、感じていた。
めくる快感と、めくられる快感。
あの分厚い本は、あなた。
あの弾力性は、あなた。
そして、私。