#449 私が欲しかったのは、これ
あなたの無意識の声を聞き取る力が、好き。
あなたと、お食事をする。
あなたは、「何が、食べたい」と聞かない。
聞かれていないことに、ふと気づいた。
聞かれているような気がしていた。
私が、「今日は、ピッツァが食べたい気分だな」と思うと、あなたはピッツァに連れて行ってくれる。
聞かれてもいないし、自分からいったわけでもない。
ひょっとして、独り言を言ってしまってたかもと、恥ずかしくなる。
たまたまかな、と思った。
2回、3回と続くと、偶然ではない。
あなたは、私に聞かずに、私が食べたいものに、気づいてくれる。
お店に入って、メニューを決める時も。
「何が、いい?」とは、いちいち聞かない。
冷たいんじゃない。
テレパシーで、聞いてくれている。
私が、「これがいいな」と思っていたメニューを、次から次へと、頼んでくれる。
全部、ドンピシャ。
私は、心の中で「食べたい」と思うだけでいい。
「あとね……」
私が思い浮かべたメニューは、全部頼んだあと、あなたが、追加しようとしている。
全部、頼んでくれたんだけどな。
そうか、あなたが食べたいものなのね。
あなたが追加で頼んだ料理を見て、驚いた。
前から、食べてみたかった料理。
でも、料理の名前を知らなかった。
料理名を知らないので、メニューに載っていても、念じることができない。
私の無意識の声まで、あなたに聞かれてしまっている。
私は、まだ自分の求めているものを知らない。
あなたが、教えてくれる。
そうそう、私が欲しかったのは、これ。
ベッドの中でも。