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#450 幽かで、まばゆい

あなたの、幽(かす)かさが、好き。
あなたと、ライトアップの紅葉を見に行った。
大名庭園に入ると、驚いた。
暗い。
何も、見えない。
足元も、見えない。
突然、闇の中に、放り込まれたみたい。
ライトアップって、もっと煌々(こうこう)と明るいものを想像していた。
足元の道が見えない。
あなたの気配を、探る。
あなたが、隣にいる。
それだけで、安心。
もはや、紅葉を見る余裕は、なかった。
周りには、他のお客さんもいる。
外国語が、聞こえる。
いろんな外国語が聞こえる。
もうどこの国にいるかさえも、分からない。
あなたの気配だけが頼りで、歩いていく。
少しだけ、目が慣れてきた。
それでも、足元の道と、池の境目が、かすかに分かるくらいでしかない。
あなたの気配が、温かい。
サーモセンサーのように、あなたの温かみを頼りにして歩く。
幽かに、光のようなものを、感じた。
それは、光というには、あまりにもおぼろげなもの。
それが、紅葉だった。
いったん暗くしておいて、一気に明るくするのねという私の予想は、またしても覆された。
幽かな、ライトアップだった。
ところが、幽かなライトアップが、奇麗だった。
幻想的だった。
こんなに幽かな明かりなのに、見える。
見えてくる。
水面に、紅葉が映っている。
どちらが、本体か分からない。
あなたの体が、サーモグラフィーのように輝いていた。



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