#480 遠くからの、アイコンタクト
あなたの遠くからのアイコンタクトが、好き。
あなたと待ち合わせをする。
信号の向こうから、あなたがやってくる。
赤信号。
あなたが、すぐ見える。
すぐ見えるけれど、私よりも早く、あなたは私を見つけてくれていた。
私が気づくと、アイコンタクトをくれる。
この時間が好き。
まだ、信号が変わらない。
信号が、青に変わるまでの時間を味わう。
どうして、交差点で隔てられていても、こんなにそばにいるように、味わえるんだろう。
ファッションショーの時もそうだった。
あなたは、知り合いと、アイコンタクトをする。
他の人たちは、知り合いを見つけると、大きな声を出す。
パーティーでも。
あなたは、全く、大きな声を出さない。
なのに、気持ちは、ハグをしている気分になる。
受け入れてくれている気分がする。
カフェで、待ち合わせても。
私は、本を読んでいる。
どんなに本に夢中になっていても、あなたが、カフェの外に来たのが分かる。
あなたは、私が気づいていない間から、私を見てくれている気がする。
長い長い、アイコンタクト。
私が、気づいたときに、あなたは優しく投げてくれる。
アイコンタクトって、こんなに長い距離でできるものだったのね。
間に、大勢の人がいればいるほど、あなたの長いアイコンタクトを味わえる。
群衆の中で、2人きりになる。
ノイズが、すべて消える。
あなたの優しい声が、心の中で、聞こえてくる。