» page top

#481 離れたところから、魔法をかけて

あなたのツボ刺激が、好き。 今日は、仕事で疲れた。
あなたに会うまで、頑張った。
目が、しょぼしょぼしている。
まぶたが、重い。
せっかく、あなたに会うのに、ベストバージョンじゃないのが、ちょっと残念。
あなたの笑顔を見る。
手をつないで、歩く。
あなたの手のぬくもりが、うれしい。
ああなたの手は、温かい。
私の手は、いつもより、冷たくなっていた。
あなたの手が、私の冷たくなった指を、包み込んでくれる。
次の瞬間、鼻が通った。
お腹が、ぐーっと、鳴った。
止まっていた血流が、流れ始めた。
今まで、血が流れていなかったことにすら気づいていなかった。
断水していた水道が、出始めた気分。
呼吸が、深くなる。
そういえば。
息をすることも、忘れていた。
今日、初めて、呼吸をした。
海の中から、海上に出た。
あなたは、なんの魔法をかけてくれたの。
ひょっとして、あなたは私の指のツボを刺激してくれたの。
あっ。
重くて閉じていた目が、開いている。
あなたは、私が疲れていることに気づいてくれていた。
「疲れてるね」とも言わない。
言わないで、そっと、ツボを刺激してくれた。
首をもんだり、肩をもんだりしないで、離れたところから、刺激を入れてくれた。
離れたところからの、あなたの魔法が好き。



【中谷先生のおすすめ電子書籍TOP3】 紹介記事はこちらからどうぞ