#483 食事は、後で
あなたとのベッドの後の食事が、好き。
あなたと初めて会ったとき。
いつも、思い出す。
何度も、思い出す。
一生、思い出す。
初対面なのに、食事に誘ってくれた。
「今度」とは、あなたは言わなかった。
「今から」と言ってくれのが、うれしかった。
私は大きく、うなずきながら、こう言った。
「お食事……後でもいいですか」
「後でも」とは、「今度」という意味ではない。
「ベッドの後に」という意味だ。
なんでそんな言葉が、自分の口から出たのか。
ナイスプレー。
プレイボールの審判の声で、試合開始のサイレンが鳴っている間の初球打ち、ホームランだった。
自分で、自分を褒めてあげたい。
前から準備していた言葉ではない。
反射的に、出た。
考えていたら、照れくさくて言えなかった。
あなたは、もちろん、言葉の意味を理解してくれた。
ベッドの後の食事は、おいしかった。
どんな豪華な食事よりも、おいしかった。
愛し合った人と食事する時間が、もっとも楽しい。
心も体も満足して、おなかが空いていることを思い出す。
エネルギーも消耗した。
みんなの話では、食事の後、ベッドになる。
ときには、そこでギクシャクしたりする。
ベッドの後に食事にすれば、ギクシャクがなくなるのに。
それができる男性が、いないだけのことだ。
食べていると、またベッドに戻りたくなる。
それに気づいてくれて、ほほ笑んでくれるあなたが、好き。