#491 眼鏡をしたまま、キスしたい
あなたの眼鏡が、好き。
あなたが、眼鏡をかけているのを見た。
あ、眼鏡もかけるんだ。
10秒ほど、見とれた。
黒縁のスクエアタイプ。
眼鏡って、こんなにおしゃれなものだったんだ。
あなたほど、眼鏡が似合う人を、見たことがなかった。
あなたは、普段は、眼鏡をかけていない。
眼鏡は、変装用。
目立ちすぎるのを、消すため。
ところが、目立たなくしている眼鏡なのに、かっこよすぎる。
眼鏡の上の縁が、眉にピッタリ沿っている。
鼻筋の深い根元が、きゅっと上に上がっている。
それに比べると、街で眼鏡をかけている人を見ると、みんなお年寄りに見えてしまう。
普段、眼鏡をかけないあなたの、眼鏡をかけている瞬間を見れるのが好き。
眼鏡は、やっぱり鼻筋が通っていないと、似合わない。
あなたの眼鏡を見ながら、独り言ばかりつぶやいている。
あなたが、眼鏡を外す。
最近、あなたの顔が、どんどん外国人になっている。
おばあ様に、内緒のラブアフェアが、あったのかもしれない。
クオーターの人は、年を取ると、それまでの日本風の顔から、急に外国人の顔になる。
なんとなく、感じていたけど。
今、あなたが眼鏡を取った瞬間、かなり外国人のDNAが活動し始めている。
眼鏡をかけているあなたと、眼鏡をかけていないあなたの、2つの顔を、味わえる幸せ。
眼鏡をかけたあなたとも、キスしたくなった。
オックスフォードの若い教授にも、見える。
ニューヨークの美術館のキュレーターにも、見える。
知能犯の美術品泥棒にも、見える。
貴族のお坊ちゃまにも、見える。
頭の良さと、品の良さが、眼鏡でバレてしまっています。
お忍び用の眼鏡なのにね。