#512 手品をしたことに、気づかせない手品
あなたの、偶然が好き。
あなたは、一見、何もしてない。
何をしているのか、分からない。
他の人の「何もしていない」のと、あなたの「何もしていない」は違う。
あなたは、何かをした跡を消すひと手間が加わっている。
あなたの親切は、手品。
手品は、タネを見せない。
手品をしたことも、見せない。
いつの間にか始まって、いつの間にか終わっている。
「さあ、これから、すごいことを始めますよ」という、ファンファーレはない。
気づかない人は、気づかない。
「ボールルームダンスの究極は、何もしていないように見えること」というのが、あなたのダンスのポリシー。
「うまい」と言われたら、「うまい」と言われる何かをしている。
あなたのボールルームダンスの先生のダンスを、動画で見せてもらった。
たしかに、何もしていなかった。
何もしてないのが分かるようになるには、見る側のレベルが上がらないと、いけない。
何もしていないから、つまらないと感じる人に、離れていってもらうために、しているみたいだ。
「もっと、こうしたほうがいい」とアドバイスする人もいる。
あなたは、ほほ笑んで聞いている。
ちょっと、切なそう。
かといって、見下しているわけではない。
私も、あなたが「消した跡」に気づいていない。
「何かをしようとする」人にはない、何かを感じる。
消したのか、していないのか、分からないけど。
手品をしたことを相手に気づかせない手品があることだけは、感じる。
あなたといると、偶然のことが、よく起こる。
あれは、偶然ではない。
あなたが偶然に見せている手品が、あまりにも鮮やかなだけだ。