» page top

#517 スカートの裾が、光る

あなたに、スカートを見てもらうのが好き。
あなたと夜の水族館に行った。
水族館も、夜と昼は、こんなに雰囲気が違う。
さすがに、家族連れが少ない。
夏場に、プールではなく、水族館に行くあなたが好き。
中は暗く、外の真夏日と別世界だった。
クラゲが、セクシー。
子どもの時から、クラゲが好きだった。
海水浴で刺されたこともあったけど、それでも好きだった。
ゆったりとしたリズムは、あなたのリズムと同じ。
だから、私は反応してしまった。
透明なスカートが、泳いでいるみたい。
ひるがえって見えるけど、実際には泳いでいるわけではないと、あなたが教えてくれた。
水槽内で、海と同じ水流を起こして、動きを作っている。
スカートの裾が、イルミネーションのように、光っている。
しばらく、スカートの裾が光るクラゲの前にいた。
心なしか、さっきより、スカートの裾の光が増えた気がする。
分かる。
私も、あなたと一緒にいる時、スカートの裾が光っている。
このクラゲは、きっと女の子。
見ているあなたに反応して、光り始めた。
あなたの腕の中で、私の手や足の指先も、きっと光っているに違いない。
あなたは、クラゲにまで、愛される。
ヒトが地球上に現れる前から、クラゲはいたに違いない。
進化的には、私より、はるかに大先輩。
私の中にも、クラゲの遺伝子がある。
スカートの裾が光るクラゲに、私の中の遺伝子を見た気がする。
だから、あなたに反応している。
私が、クラゲに引かれる理由が分かった。
私の中のクラゲが反応していたからだった。
今、私のスカートの裾も、きっと光っている。



【中谷先生のおすすめ電子書籍TOP3】 紹介記事はこちらからどうぞ