#560 ノートを、開くと
あなたの授業のノートが、好き。
あなたの授業を、受ける。
復習する時間が好き。
ノートを、開く。
ノートの中から、あなたが現れる。
あなたの香りが、立ち上る。
胸の奥まで、あなたの香りを味わう。
コロンを付けているわけではない。
あなたに、コロンは要らない。
あなたが、コロンだから。
まるで、ホログラフィーのように、あなたが現れる。
あなたの声が、聞こえてくる。
あなたの手触りが、感じられる。
あなたと会っていないときの私の、ひそかな楽しみ。
あなたのノートが、私のおもちゃになる。
せっかくいい授業をしてもらっているのに、こんなに感じてしまって、申し訳ない。
勉強することは、エクスタシー。
気持ちよくて感じるのは、ピークがあるけど、勉強の快感には、ピークがない。
いっても、いっても、まだ先がある。
もっと、もっと、ってなる。
ノートを、閉じる。
でも、我慢できない。
また、ノートを開いてしまう。
ノートは、魔法のランプ。
あなたの言葉を、ノートに写す。
それだけで、呪文を教えてもらった気がする。
文字を眺めるだけで、私が書いたものなのに。
背中に、あなたを感じる。
ノートに、抱き締められている。
ノートを、胸に押し付けてみた。
ノートを、太ももに挟んでみた。
確かに、あなたが、そこにいる。