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#562 プレゼントは、8メートルのバラ

あなたのサプライズが、好き。
あなたと、待ち合わせた。
いつもの、待ち合わせ場所。
メールが、届く。
「秘密の場所にいるから、おいで」
メールの指示通りに、歩く。
そんなところに、道はないはず。
行ってみると。
確かに、細い道がある。
あら、こんなところに、こんな道って、あったかな。
あなたの指示通りに、進む。
あなたのメールがなかったら、絶対、ここには入れない。
こんな都会の、ど真ん中に。
まるで、民家のような一角。
21世紀とも思えない。
ここは、まるでベルサイユ宮殿時代のような雰囲気。
曲がりくねった細い道を、進む。
両側は、ガーデンニングされている。
花の香りがした。
曲がりくねっているので、先が見えない。
どれくらい距離を歩いたのか、方向感覚もなくなった。
ここは、どこという景色だった。
花のゲートをくぐると、開けた空間に出た。
大きな白い鳥籠のような洋風のガゼボがあった。
まるで、ベルサイユ宮殿のお庭。
大きな白い鳥籠の中のベンチに、ロングコートのあなたが座っていた。
ベンチというより、ソファーに見えた。
今は、18世紀かしら。
振り返ると、東京タワーが見える。
あなたの膝の上に座って、景色を見た。
最初にいたところから、ほとんど移動していない。
よく知っている景色。
こんなに知っているところのすぐそばに、こんな景色があるなんて。
「プレゼント」
あなたが、それを指さした。
そこには、巨大な一本のバラが、咲いていた。
何かの柱だと思っていたのは、バラの茎だった。
あなたからの8メートルのバラのプレゼント。



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