#568 人形になって、操作されたい
あなたの、人形を見る目が好き。
あなたと、文楽を見た。
文楽を、あなたに会うまで、見たことがなかった。
あなたに連れて来てもらうようになって、面白さが分かってきた。
あなたは、人形好き。
あなたの人形を見る目は、優しい。
フィギュアも、好き。
なのに、ちっともオタクな気配がない。
「黒衣(くろご)が気になって、集中できない」と言う子もいる。
私も、そうかなと思っていた。
でも、すぐ見えなくなった。
黒衣どころか、主遣(おもづか)いのおじいさんは、顔まで出ているけどね。
おじいさんの顔が、美人のお人形のそばにあっても、全く気にならなくなった。
今日は、ちょっと違う妄想が入ってしまった。
私がお人形になる。
そして、あなたが人形遣いになって、私を操作する。
人形は、三人遣い。
三人とも、あなた。
私は、あなたに操作される。
なんて、エロティックなんだろう。
あなたが私の体に触れるとき、なんて軽いのか、驚かされる。
あなたが触れるだけで、私の体は、無重力になる。
あなたに、操作されたい。
私の体の中に、あなたのしなやかな腕が入っている。
人形の私は、時折、あなたを振り返る。
太ももを、擦り合わせる。
お三味線の音が、鼓動を高ぶらせる。
人形が、感じている。
なんて、セクシーなんだろう。
生身の人間がするより、はるかにエロティシズムが漂う。
私の中に入ったあなたの腕を、もう少し、そのまま抜かないでね。